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乳酸菌は何日くらい腸にいる

腸内に定着する常在菌と留まれない通過菌

私たちの腸には500種類以上、100兆個以上もの腸内細菌が生息していて、種類ごとにまとまり独自の腸内フローラを形成しています。
生息する菌は人によって異なり、腸に定着している菌を常在菌、体内に入ってから短い期間で体外に排出される菌を通過菌と呼びます。
生きて腸まで届く乳酸菌などの善玉菌をプロバイオティクスと言いますが、生きて届いたからといってそのまま腸内に住み着くことはできるのでしょうか?

実はヨーグルトなどの食品やサプリメントから摂った乳酸菌は、腸内に元から定着していた常在菌や白血球に勝つことができず、通過菌として体外へ排出されていくのです。
例外的にたまたま自分が持つ腸内細菌に近く、他の菌から敵とみなされない場合は定着できる可能性もありますが、確率は低く現実的ではありません。

乳酸菌が腸内に留まれる期間は菌によって異なる

では乳酸菌はいったい何日くらい腸内に留まることができるのでしょうか? 一般的な乳酸菌が腸内に留まれる期間は2日から1週間程度です。
しかし乳酸菌の種類によって留まれる期間にはバラつきがあり、中には1週間から数ヶ月もの長い期間、留まれる菌もあります。
動物性乳酸菌は他の菌と共存できないため腸内で留まれる期間も短く、植物性乳酸菌は生命力が強く他の菌とも共存できるため長く腸内に留まると言われています。

腸内に長く留まる乳酸菌

近年では腸内で長く留まる乳酸菌の研究が進められています。以下の乳酸菌は比較的長く腸内に留まることが確認されています。

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・ガセリ菌SP株
雪印メグミルクが保有する人の腸から分離培養したラクトバチルス属ガセリ菌の一つです。
生命力がとても強く胃酸や胆汁で死滅することなく生きて腸まで届き、しかも長く留まることが世界で初めて認められました。
8名の社内ボランティアを対象に、1000億個のガセリ菌SP株を1日1回1週間摂ってもらい、定期的に便を検査しました。
その結果、90日過ぎても8名のうち4名の便からガセリ菌SP株が検出されることが分かりました。

・ラクリス菌
胞子と呼ばれる殻を作ることで酸や熱から身を守る有胞子乳酸菌で、生命力が強く胃酸や胆汁に負けることなく生きて腸まで届きます。
乾燥にも強いためお菓子などの加工食品やサプリメントに適した乳酸菌です。腸内に留まる期間は一般的な乳酸菌よりも比較的長い一週間程度です。

・乳酸菌HSK201
ザワークラウトから分離した植物性乳酸菌で、日本ルナと日本ハム中央研究所がアレルギー研究を進める中で、2000株以上の乳酸菌から選び出しました。
酸に強く胃液に対して強い耐性を持つため、生きて腸まで届くプロバイオティクスの乳酸菌です。
乳酸菌は腸の細胞に付着することでより長い期間留まることができますが、HSK201は腸管上皮細胞にしっかり付着することが確認されています。

・LGG乳酸菌
アメリカのタフツ大学で発見されたラクトバチルス属の乳酸菌で、発見者2人の頭文字からこの名前がつけられました。
日本ではタカナシ乳業のみが利用契約を結んでいます。LGG乳酸菌は胃酸や胆汁に強く生きて腸まで届くプロバイオティクスの乳酸菌です。
LGG乳酸菌はタカナシ乳業のほかの乳酸菌との比較で長く腸内に留まることが確認されています。
その理由はLGG乳酸菌が持つ微細な綿毛の付着性にあり、腸表面にしっかりと付着することである程度の日数を腸内で留まることができ、持続性乳酸菌とも呼ばれています。
綿毛を除去してしまうと付着性が大きく低下することも分かっています。このような綿毛を持つ乳酸菌は2017年の時点で他に発見されていません。

・L-55乳酸菌
オハヨー乳業が乳児の腸から発見したラクトバチルス属の乳酸菌です。人由来のため胃酸や腸液への耐性がとても強いのが特徴で生きて腸まで届きます。
腸管に付着する力が強く、一般的なヨーグルトに使われているブルガリクス菌やサーモフィラス菌よりも長く腸内に留まるとされています。

乳酸菌が腸内に留まる期間には個人差がある

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長く腸内に留まることが認められている乳酸菌であっても、実際に何日腸に留まるかは個人差があります。
先述のガセリ菌SP株も、雪印メグミルクが社内で行った試験で半数は90日間留まりましたが、残りの半数の腸内に留まった期間にバラつきがありました。
ガセリ菌は日本人の腸から分離された菌ですが、それでも全ての日本人の腸に長く留まるわけではないのです。
このように腸内環境は人それぞれ異なり、菌との相性もあるため、腸に留まる日数には個人差があります。

定着よりも元から住む善玉菌を増やすことが重要

乳酸菌は腸内に留まる期間が長いほどより高い効果が期待できます。しかし、腸内に留まる日数に差はあるものの、定着することはできずにいずれ便として排出されてしまいます。
東北大学の斉藤忠夫教授は「これらの通過菌が入ってくること自体が、腸内フローラにとって刺激となる」と言います。
乳酸菌は腸を通過するだけでも、善玉菌の増殖に適した腸内環境を作ることができます。腸内に留まる日数も気になりますが、腸内に元から住む善玉菌を増やすことのほうが重要なのです。

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