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乳酸菌は風邪予防にも有効

風邪と腸内環境の関係

多くの風邪はウイルスが原因

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空気が乾燥する冬場、体調を崩しやすい季節の変わり目は風邪に要注意です。一言で風邪と言ってもウイルス性のものと細菌性のものがありますが、その多くはウイルスを原因とする風邪です。
風邪ウイルスには鼻水、鼻づまり、くしゃみから始まり、のどの痛み、頭痛、咳へと移行するラノイウイルス、冬に多く見られる鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳といった症状が特徴的なコロナウイルスなど実に200種類以上もあります。
ウイルスは湿度の低い環境を好むため空気が乾燥する冬場に猛威を振るいます。そこで心がけたいのが日ごろの風邪予防です。

ウイルスや細菌から体を守る腸管免疫

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風邪の予防法にもいろいろありますが、「ヨーグルトには風邪予防効果がある」「乳酸菌で風邪を予防できる」という話を耳にすることがあります。これは本当なのでしょうか。
実は風邪予防には腸内環境が大きく関係していることが分かっています。私たちの体にはウイルスや細菌などの病原菌から身を守るための免疫システムが備わっていますが、免疫系全体の細胞や抗体の約70%は腸管に集中しているのです。
これを腸管免疫と呼び、食べ物のような安全なもの、無害な微生物や異物と、体に害を与える病原菌を区別し、感染を防ぐ役割を果たしています。
この腸管免疫を活性化するためには腸内環境を改善する必要があります。腸内で善玉菌の活動が弱まり悪玉菌が優勢な状態にあると、腸管免疫の働きも弱くなってしまうからです。

腸管免疫に働きかける乳酸菌

乳酸菌やビフィズス菌には、腸内の善玉菌の増殖を促すことで腸内環境を整える作用があるため、腸管免疫の活性化にも有効であると考えられています。
腸管免疫で司令塔の役割を果たしているのがパイエル板という小腸にあるリンパ組織です。ここで情報交換が行われウイルスの感染を防ぐためにIgA抗体が作られます。
生きて腸まで届くプロバイオティクスの乳酸菌には、このIgA分泌を刺激する作用があり、免疫力の向上に繋がります。また、善玉菌が樹状細胞(免疫細胞の一種)によって腸間膜リンパ節という免疫組織に運ばれると、IgA抗体の分泌が促されます。
ほかにも、腸管上皮や粘膜固有層といった免疫組織にプロバイオティクスの乳酸菌が働くことで、IgA抗体の分泌が促され免疫力が高まります。

自然免疫を活性化する乳酸菌

免疫系には獲得免疫と自然免疫がある

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免疫にはT細胞やB細胞によって侵入してきた細菌やウイルスを記憶して、再び同じウイルスに感染したときに素早く対処する獲得免疫と、体内に侵入した細菌やウイルスを免疫細胞が捕らえる自然免疫があります。
例えばインフルエンザは獲得免疫を利用して、その年に流行しそうなウイルスに対して予防接種を行い免疫をつけておくことで予防します。
しかし、さまざまなウイルスが関係していて、どのウイルスによって発症するか予測の難しい風邪はワクチンを作ることが困難です。特に感染源の最も多くを占めるラノイウイルスは、血清型が110にも及ぶため事実上ワクチンを作ることが不可能です。

風邪予防に重要なのは自然免疫

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そこで重要になるのが白血球が大きな役割を担っている自然免疫です。その中でも白血球全体の10~20%を占めているNK(ナチュラルキラー)細胞は、体内を独自にパトロールしては、外から侵入したウイルスや細菌を見つけるとすかさず攻撃して無力化する頼もしい存在です。
私たちが健康に生活できるのは、このようなウイルスを攻撃してくれる免疫細胞のおかげなのです。しかし、NK細胞の働きは加齢によって次第に低下していきます。また若い人であっても不規則な生活や栄養バランスの偏り、ストレスや過労といった生活習慣に問題があると働きが弱くなります。

乳酸菌は免疫細胞を活性化させる

乳酸菌の中には加齢などで弱まったNK細胞を活性化する作用を持つものがあり、免疫力が向上し風邪予防に繋がります。ほかにも白血球には、マクロファージと呼ばれる細菌やウイルスを捕らえて消化殺菌することで感染を防ぐアメーバ状の細胞があります。
乳酸菌にはこのマクロファージの働きを高める作用もあり、その効果は牛乳の2倍以上と言われています。

風邪予防効果が認められた乳酸菌の種類

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・OLL1073R-1株
明治乳業が保有するブルガリア菌の一つで、一般的にはR-1乳酸菌と呼ばれています。免疫賦活作用を持つEPSという多糖体を多く生成するのが特徴です。
OLL1073R-1株にはNK細胞を活性化する効果があり、風邪の罹患リスクを下げることが確認されています。

山形県舟形町に住む70~80歳の健康な高齢者57名、佐賀県有田町に住む60歳以上の健康な高齢者85名を対象に行った試験では、どちらも地域も2つのグループに分け、一方のグループにOLL1073R-1株を使用したヨーグルトを1日90g、もう1つのグループには牛乳を1日100ml、舟形町では8週間、有田町では12週間摂ってもらい、体調と免疫システムへの働きを調べました。
その結果、どちらの地域でもOLL1073R-1株を使用したヨーグルトを食べたグループでは、NK細胞が活性化し風邪罹患リスクの低下も確認されました。
牛乳を飲んだグループの風邪罹患リスクを1としたときに、OLL1073R-1株を使用したヨーグルトを摂ったグループでは0.39とリスクが大きく減少しました。

・ブラズマ乳酸菌
キリンが保有する乳酸菌で、ウイルス感染を防ぐ免疫細胞の一つpDC(プラズマサイトイド樹状細胞)を活性化させる作用を持つのが特徴です。
pDCは主に血液やリンパ器官にあり、ウイルスに感染したときに大量のインターフェロンを作り出す役割を担っています。
インターフェロンはウイルスの増殖を防ぎ細胞増殖を抑制する働きがあり、ウイルス防御には欠かせない存在です。プラズマ乳酸菌は各種インターフェロンの生成を促すことが分かっています。
またpDCを含む樹状細胞が活性化されることで、NK細胞も活性化することも分かっています。ヒトに対す効果を検証した試験では、ヒトの血中pDC活性の低下を抑制し、風邪の発症リスクを下げることが確認されています。

30~59歳までの健康な男女106名を対象に行った試験では、プラズマ乳酸菌入りヨーグルト飲料を4週間摂ってもらいました。その結果、咳、のどの痛み、熱っぽさといった風邪症状の発症が軽減されることが確認されました。
18~39歳までの健康な男女191名を対象に行った試験では、プラズマ乳酸菌を1,000億個含むカプセルを12週間摂ってもらいました。その結果、喉の痛み、咳といった風邪の症状の発症が軽減されることが確認されました。
20~64歳までの健康な男女47名を対象に行った試験では、プラズマ乳酸菌1,000億個を含む飲料を8週間摂ってもらいました。その結果、鼻水や寒気といった症状の発症が軽減することが確認されました。
このようにプラズマ乳酸菌を摂ることで幅広い年代において風邪の発症リスクが軽減されることから、風邪を予防する効果が期待されています。

・シロタ株
シロタ株はカゼイ菌の一つで、後にヤクルトの創始者となる代田稔博士によって発見されました。胃酸や胆汁に強く生きて腸まで届くプロバイオティクスの乳酸菌です。
高い整腸作用を持つことで知られていますが、激しい運動を行う人の風邪発症リスクを下げる効果が確認されています。

激しい運動を行うと一時的にウイルスに対する抵抗力が弱まり風邪に罹りやすくなることから、持久力を必要とするスポーツ選手58名に協力してもらいました。
試験では2つのグループに分け、一方のグループにはシロタ株65億個を含む発酵乳飲料を1日2本(65ml)16週間摂ってもらい、1週間ごとに風邪の症状や胃腸の調子についてアンケートに答えてもらい、それぞれの症状を点数化して風邪に罹患したかどうかの判断基準としました。
その結果、風邪の症状が1週間以上確認された被験者の割合は、シロタ株を摂ったグループは66%と摂っていないグループよりも24%も低いことが認められました。

・ST9618株
サーモフィラス菌の一つであるST9618株は、免疫増強作用の高い菌株として選び出された乳酸菌です。NK細胞を刺激する因子であるインターロイキン1の分泌を促す作用を持つのが特徴です。
高齢者100名を対象に行った試験では、二つのグループに分け、一方にはST9618株を含むヨーグルトを1日1個5ヶ月間摂ってもらい、風邪の罹患人数を観察して罹患率を割り出しました。
その結果、ST9618株を含むヨーグルトを摂ることで風邪の自覚症状が軽減されることが認められました。免疫力を高めるST9618株は風邪予防にも有効であると考えられています。

風邪予防にはヨーグルトが有効

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市場では風邪予防の効果を謳ったヨーグルトが売られています。全てのヨーグルトに風邪を予防する効果があるかどうかは分かりませんが、ヨーグルトによって風邪の症状が軽減されるという興味深い調査結果も出ています。

神戸市が開催したフォーラムでは一般市民750名を対象に、過去2ヶ月間のヨーグルトを含む食事内容と、風邪を引いた回数、発熱や喉の痛みといった風邪の症状についてアンケート調査を行いました。
その結果、ヨーグルトを食べている方は、熱や喉の痛みなどの風邪の症状が軽いことが分かりました。
インターネットの口コミでも毎日の食生活にヨーグルトを摂りいれることで「風邪に罹りにくくなった」という声も多くあり、一定の効果が期待できそうです。

乳酸菌はヨーグルト以外にもサプリメントなどからも摂ることができますが、さわやかな風味のヨーグルトは食欲が落ちているときでも食べやすく、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどバランスよく豊富な栄養素を含んでいます。
とはいえ、いくら免疫力を高める効果が期待できるからといって、風邪を引いてしまってから食べても効果はあまり期待できません。日常的にヨーグルトを食べることで体調を整えながら免疫力を高めて風邪を予防しましょう。

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