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乳酸菌の含まれる漬物は

乳酸菌によって作られる漬物

漬物には植物性乳酸菌が含まれる

乳酸菌と聞くとヨーグルトを真っ先にイメージしますが、古来より食べられてきた伝統的な漬物にも乳酸菌が含まれています。
乳酸菌には動物性乳酸菌と植物性乳酸菌がありますが、牛乳に代表される動物の乳以外に、米や大豆などの穀類や野菜にも乳酸菌は含まれているのです。
もともと植物の中には乳酸菌を含めた微生物たちが生きています。植物に含まれる乳酸菌は熱や乾燥、さらには塩分や酸にも強く、他の微生物とも共存できる特性を持っています。
人類は何千年も前から乳酸菌を使ってさまざまな発酵食品を作ってきました。その中でもヨーグルトが最も有名ですが、漬物も同じ手法によって作られています。

先人の知恵によって完成した漬物

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食品は常温で長時間放置すると腐敗菌によって腐ってしまいます。しかし、乳酸菌が好む一定の条件下に置くことで、腐敗菌の繁殖を防いで保存性を高めることができるのです。
漬物は塩を加えて樽などに詰めて上から重しをして作ります。腐敗菌は塩分を嫌うのに対して乳酸菌は塩分を苦にしません。
重しをすることで酸素が触れる面積を極力減らすことができますが、これにより腐敗菌が侵入しにくくなります。一方で乳酸菌は酸素がない環境でも生きることができます。
また乳酸菌は発酵の過程で乳酸を作り出しますが、この酸は強力で腐敗菌に対しても有効です。このように漬物は人類が長年の経験で培ってきた知恵によって完成した食品なのです。

浅漬けには乳酸菌は含まれない

乳酸菌は発酵させることで活性化し、食品の保存性を高めてちょうど良い風味がつきます。ですが漬物にも発酵させて作るものと、発酵させないものがあることをご存知でしょうか。
家庭で手軽に作れることでお馴染みの浅漬け、ほかにも松前漬けや千枚漬けが発酵させずに作る代表的な漬物です。
またスーパーなどで安価に売られている漬物は、発酵させずに調味液に漬けて味と色を添加して作られているものもあります。
残念ながら発酵させていない漬物には乳酸菌はほとんど含まれていません。市販の漬物を買う場合は原材料表示を確かめましょう。

乳酸菌が含まれる日本の漬物

私たちが昔から食べてきた日本の伝統的な漬物は乳酸菌の宝庫です。

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・ぬか漬け
ナス、きゅうり、大根などの野菜や魚類を米ぬかで漬け込み、乳酸発酵させて作ったぬか漬けは日本を代表する漬物です。
ぬかに含まれる塩分が浸透圧によって、野菜の余分な水分を外へと出し、代わりにぬかに含まれる豊富な栄養が野菜に浸透します。
さらに塩分によってpHが下がることで乳酸菌の働きが活性化されて、あの独特の風味と甘みのある漬物が出来上がります。

・柴漬け
ナスを刻み赤紫蘇の葉と一緒に塩漬けにして、乳酸発酵して作る独特の酸味が特徴の京都発祥の漬物です。
伝統的な京都の生柴漬けはナスと赤紫蘇、塩のみを使って常温で乳酸発酵させて作りますが、安価な柴漬けは塩漬けした野菜を紫蘇風味の調味液で漬けて作ります。

・すぐき漬け
酢茎菜というカブの一種を使って作る京都の伝統的な漬物で、植物性乳酸菌のラブレ菌が発見されたことでも知られています。
現代の日本で数少ない本格的に乳酸発酵させて作る漬物で、漬け上がりはさわやかな酸味がして、時間が経つと酸味が増していきます。
酸茎菜は11月下旬から12月初旬に収穫され、塩水で一晩下漬けし、塩をまぶして7日程本漬け、室内で8日程発酵させて作ります。

・野沢菜漬け
長野県の野沢温泉村を発祥とし、信越地方で栽培されている野沢菜の葉茎を使って作る伝統的な漬物です。
寒冷な気候のもとで作られるため、発酵はあまり進まずに臭みが少なくてあっさりとした味わいが特徴です。
長野県が全国有数の長寿県である秘密は野沢菜漬けにあると言われるほど、地元で長年食べられてきた郷土食です。
全国的に市販されている野沢菜漬けのほとんどは浅漬けしたもので、乳酸発酵させた本漬を味わうには地元を訪れるか、お取り寄せする必要があります。

・沢庵漬け
干した大根を米ぬかで漬け込んだ、日本の食卓に欠かせない漬物です。大根を天日干しすることで味が凝縮され、
米ぬかに生息する麹がデンプンを分解して生まれる糖分によって、大根本来の甘みが増して、色も少しずつ黄色に染まっていきます。
伝統的に作られる沢庵付けは乳酸発酵させていますが、スーパーなどで流通されている多くの商品は調味液に漬けてウコンなどで着色しています。

・すんき漬け
長野県木曽地方で作られる赤カブの葉茎を乳酸発酵させた伝統的な漬物です。独特の酸味としゃきしゃきした食感が特徴で、地元では料理の素材としても使われています。
すんき漬けは塩を使わず作られる珍しい漬物です。昔は内陸部の木曽地方で塩が貴重品であったため、塩を使わずに作る漬物が考案されました。
普通であれば塩を使わないと乳酸菌が働く前に腐敗菌が繁殖してしまいますが、すんき漬けは前年に作った残りを種として利用することで乳酸発酵を促しています。

・白菜漬け
白菜を塩で漬け込んだ現代の日本でも食卓に上る機会の多い漬物です。白菜と塩があれば家で作ることができる白菜漬けにも乳酸菌が含まれています。
作り方は白菜を4等分に切って半日干して、塩とお好みで細かく刻んだ昆布や唐辛子を白菜によくまぶします。樽で5日から10日ほど漬け込んだら出来上がり、簡単なのでぜひ挑戦してみましょう。

乳酸菌が含まれる海外の漬物

日本以外の国で食べられている伝統的な漬物にも乳酸菌は含まれています。

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・キムチ
朝鮮半島で最も食べられている発酵食品のキムチは日本でもお馴染みです。白菜、キャベツ、大根などを塩と唐辛子で漬け込み乳酸発酵させて作ります。
キムチは冬場の保存食して作られたのが始まりで、唐辛子、塩辛や塩アミなどの魚介類、ニンニク、しょうがなど加えることによって、唐辛子の辛さ、野菜の甘み、乳酸発酵による酸味や旨みが混じりあった独特の強くて複雑な風味が特徴です。その数は200種類以上と言われています。
キムチからは100種類以上の乳酸菌が見つかっていて、ロイコノストック属、ラクトバチルス属、ワイセラ属の乳酸菌が多いそうです。

・ザワークラウト
ドイツの伝統的なキャベツの漬物で、乳酸発酵させることで独特の酸味が生まれます。ドイツのほかポーランドやフランスのアルザス地方、ロシアや北米まで広い地域で食べられています。
各家庭によってさまざまな作り方がありますが、一般的にはキャベツを繊切りにして、瓶や樽に塩と香辛料とともに漬け込みます。
ビタミンCが豊富に含まれた保存食であることから、古くは船乗りが航海中の壊血病予防として船内で常食されていました。

・ザーサイ
日本でも中華料理で食べる機会が多く、瓶詰めにされた商品を見かけるザーサイは中国を代表する発酵食品です。1930年頃に現在の重慶市で作られたのが始まりで、今日では中国全土で食べられています。
ザーサイは乳酸菌が世界一多く含まれている植物として有名で、乳酸発酵させることで独特の風味と旨みのある漬物が出来上がります。

・ピクルス
日本ではハンバーガーなどのつけ合せくらいしか馴染みがありませんが、アメリカやイギリスでは広く食べられている漬物です。
塩漬けにしたキュウリなどの野菜を、酢や砂糖などを合わせた漬け汁と一緒に瓶で漬け込んで乳酸発酵させて作ります。

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