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腸内のビフィズス菌を増やすオリゴ糖

オリゴ糖の特徴

オリゴ糖とはどんな糖なのか理解するためには、糖類の性質について説明する必要があります。糖類は結合している糖の数によって、単糖、少糖類、多糖類に分かれていて、オリゴ糖は少糖類に分類されます。
単糖とは糖の最小単位であり、ブドウ糖や果糖を指します。少糖類にはブドウ糖と果糖が二つくっついたショ糖(砂糖)、麦芽糖、乳糖といった二糖類も含まれます。
単糖類は、分解することなくそのままエネルギーとして使うことができます。二糖類は小腸で消化酵素によってすぐに単糖に分解されてしまうため、早く吸収される性質があります。
ところが同じ少糖類でもオリゴ糖は3~10個の糖がくっついているため二糖類とは異なる性質を持ちます。難消化性であり胃や小腸でほとんど吸収されることなく大腸まで届きます。
例えば乳糖オリゴ糖は胃で1.5%、小腸の粘膜が分泌する消化酵素によって5%分解されるだけで、残りは大腸に送られます。ということはオリゴ糖を摂っても全体の90%以上は消化、吸収されないということになります。

オリゴ糖の種類

オリゴ糖にはさまざまな種類がありますが、代表的なものを紹介します。

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・イソマルトオリゴ糖
ブドウ糖が結合したオリゴ糖で、熱や酸に対して強い性質を持ちます。他のオリゴ糖と比べると小腸で多少は消化されますが、二糖類やデンプンなどよりは消化されにくいため、その多くは分解されずに大腸まで運ばれます。
味はまろやかでコクがあり、砂糖の40~50%の甘味があります。清酒、みりん、醤油といった日本の伝統的な食品やはちみつに微量ですが含まれています。
イソマルトオリゴ糖は砂糖に近い甘さがあることから、甘味料のほか、お菓子やパン、加工食品などに幅広く利用されています。

・フラクトオリゴ糖
果糖が結合したオリゴ糖で、玉ねぎやこぼうなど多くの野菜類に含まれています。自然界に広く分布しているため身近な食品から摂ることができます。
熱に対する強さは砂糖と同じくらいで、酸にはあまり強くありません。消化酵素に強い性質を持ち、腸でほとんど吸収されないオリゴ糖です。
1gあたり1.6~2.2kcalという低カロリーであり、甘さは砂糖の25~35%程度あります。主に整腸作用を目的に、特定保健用食品などの甘味料や乳製品に利用されています。

・ガラクトオリゴ糖
二糖類の乳糖と単糖のガラクトースを結合させたオリゴ糖で、熱や酸に強くクセのない味わいが特徴で、甘さは砂糖の25~35%あります。
ガラクトオリゴ糖は低カロリーで砂糖に近い甘さがあることから、飲料やデザートなど多くの加工食品に利用されています。
また、消化酵素に分解されにくく、ほとんどが大腸まで届くため、整腸作用を目的にした特定保健用食品にも使われています。

・キシロオリゴ糖
単糖のキシロースが結合してできたオリゴ糖で、自然界ではタケノコやトウモロコシなどに少量含まれています。
甘さは砂糖の25~40%あり、砂糖とほぼ同じ味わいで熱や酸に強いため、多くの加工食品に利用されています。
天然成分としてはほとんど採れないオリゴ糖ですが、植物から人工的に生成することは容易であり、安価に大量に生成できるのがメリットです。

・乳果オリゴ糖
二糖類の乳糖と果糖一つが結合したオリゴ糖で、糖が三つ結合していることから三糖類に分類されることもあります。
オリゴ糖の中で最も砂糖に近い味わいが特徴で、砂糖の半分程度の甘さがあります。カロリーは1gあたり2kcalと低めです。このため特定保健用食品などの甘味料、飲料やお菓子、健康食品などに幅広く利用されています。

・大豆オリゴ糖
大豆に含まれるオリゴ糖の総称で、ラフィノースやスタキオースといったオリゴ糖と二糖類のショ糖が結合してできています。
大豆オリゴ糖は大豆たんぱく質を取り除いた残りから作られます。また大豆以外のマメ科の植物にも比較的多く含まれています。
大豆オリゴ糖は砂糖の70%程度の甘さがあり、すっきりした味わいが特徴です。味噌や醤油など大豆加工食品に含まれているほか、整腸作用を目的にした特定保健用食品にも使われています。

腸内でビフィズス菌を増やすオリゴ糖

乳児のビフィズス菌を増やすオリゴ糖

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1900年、フランスの研究者であるティシエによって母乳を飲んでいる赤ちゃんの糞便からビフィズス菌が発見されました。

赤ちゃんの腸内では、生後3日目までにビフィズス菌が優勢になり、授乳によってその数は増え続け生後1週間ほどで腸内の95%をビフィズス菌が占めるようになります。
当時は母乳育児の赤ちゃんよりも人工乳育児の赤ちゃんのほうが、病気に罹りやすく死亡率も高かったことから、ティシエはビフィズス菌が赤ちゃんの健康を守っていると考えました。
実際に、母乳を飲んでいる赤ちゃんは早期にビフィズス菌が増殖するのに対して、人工乳を飲んでいる赤ちゃんはビフィズス菌の数が少なく、下痢をしやすいことが分かっています。

さらにその後の研究では、母乳に含まれるオリゴ糖が赤ちゃんの腸内のビフィズス菌を増やすことが明らかになります。そして、オリゴ糖は赤ちゃんの腸内でビフィズス菌を増やす働きがあるという考えが広まりました。
「それなら成人にも」と現代の私たちは考えます。ところが、20世紀半ばまで成人の腸内にはビフィズス菌は生息していないと思われていたため、オリゴ糖が成人の腸内フローラを改善できるという発想自体がなかったのです。

成人のビフィズス菌も増やすオリゴ糖

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1970年代に入ると成人の腸内にもビフィズス菌が生息していて、善玉菌の95%以上を占めることが認められます。
そこでこれまで赤ちゃんのビフィズス菌を増やす目的で使われてきたオリゴ糖を、成人の腸内フローラを改善するために役立てようと考えたのが、腸内細菌研究の第一人者である東京大学の光岡知足名誉教授です。
ビフィズス菌は大腸に生息しているため、腸内環境を整えて便秘やお腹の張りを抑制するために、ビフィズス菌を増やすことがとても重要だからです。
とはいえ、オリゴ糖は大手製菓メーカーによって虫歯にならない甘味料として開発が進められていました。しかし光岡氏は「これは腸内のビフィズス菌の餌になる」と直感します。胃や小腸でほとんど分解、吸収されないオリゴ糖は、大腸にそのまま送られるからです。

フラクトオリゴ糖の働き

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光岡氏が研究を進めオリゴ糖の特性について調べるにつれ、オリゴ糖にはビフィズス菌の増殖を促す性質があることが明らかになります。
研究では、人間の腸内に生息する代表的な菌種を選び出し、試験管でオリゴ糖との相性を調べました。その結果、ビフィズス菌がオリゴ糖を最もよく利用することが分かりました。
またオリゴ糖の効果は一時的なものではなく、摂り続けることで腸内フローラを改善する効果が持続することも分かりました。
さらに病院で治療中の50~90歳の23名を対象に行った試験では、フラクトオリゴ糖を2週間摂ってもらい、腸内フローラを観察しました。
その結果は、フラクトオリゴ糖を摂取している間はビフィズス菌の数が約10倍に、検出率も87%から100%に増加することが認められました。
この研究結果は、1982年に「フラクトオリゴ糖の腸内フローラ改善効果」として発表されています。こうしてオリゴ糖は赤ちゃんだけでなく、大人の腸内フローラも変えられる成分として注目されていきます。

その他のオリゴ糖の働き

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その後の研究で、オリゴ糖の機能性について詳細が明らかになると、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖など他のオリゴ糖についての研究も進み、同様の働きがあることが認められます。

例えば、ガラクトオリゴ糖の働きを調べる試験では、摂取するオリゴ糖の量が多いほど、腸内フローラに与える影響が大きいことが分かっています。
試験では、腸内に生息するビフィズス菌の数が総菌数に占める割合が低い22名を対象に、ガラクトオリゴ糖を2.5gもしくは5.0g含む飲料を2週間摂ってもらいました。
また、試験期間中はヨーグルトや納豆の過剰摂取、食物繊維やオリゴ糖を含む食品の摂取を控えてもらいました。
その結果、ガラクトオリゴ糖を2.5g摂った人、5.0g摂った人いずれも腸内のビフィズス菌の数が飲用前よりも増加し、5.0g摂った人のほうが増加率が高いことが確認されました。

体に優しいオリゴ糖

砂糖に代表される二糖類は、小腸ですぐに単糖に分解されて吸収されるため、摂りすぎると高血糖や肥満など健康に悪影響を及ぼします。
一方のオリゴ糖は、胃や小腸でほとんど吸収されない難消化性のため、甘さはありますが高血糖のリスクがほとんどありません。
カロリーも砂糖より低いため、肥満になるリスクが少なく、たくさん摂っても問題ありません。巷では糖質ダイエットが流行っていますが、オリゴ糖の場合は体に負担がかからないため、糖質を気にする必要がなく安心です。

オリゴ糖を毎日の食生活に取り入れよう

糖類であるオリゴ糖は野菜や果物など身近な食品から摂ることができます。果物ではバナナやリンゴ、野菜では玉ねぎ、ごぼう、アスパラガスなどに比較的多く含まれています。
これらの食材を毎日の食生活に取り入れるだけでもオリゴ糖を摂取することができます。とはいえ、それぞれの食材に含まれるオリゴ糖の含有量はそう多くはありません。
もっと効率的にオリゴ糖を摂りたいという方におすすめなのが、オリゴ糖を配合したシロップ状の甘味料です。市場では低カロリーや整腸作用を謳い文句に、さまざまな商品が売られています。
価格が安価で、料理や飲み物などにサッと加えるだけですぐに溶けるため、使いやすいのが魅力です。砂糖に近い甘さでクセがないため、万人受けする味わいです。
しかし、それでもオリゴ糖の含有量は30%程度であまり多くはありません。甘味料ではいまいち効果が実感できないという方は、オリゴ糖含有量100%のサブリメントを試してみましょう。
甘味料よりも割高ですが、効率的にオリゴ糖を摂ることができ、より高い整腸作用が期待できるのが魅力です。
野菜や果物を酵母菌などで発酵させたいま流行りの酵素ドリンクにも、オリゴ糖が含まれています。酵素もビフィズス菌と同じく腸の健康に良い成分ですから、興味のある方は試してみましょう。

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