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乳酸菌をたくさん摂るならキムチ

キムチは日本で最も消費されている漬物

キムチは白菜やキャベツなどの野菜に、塩、唐辛子、魚介塩辛、ニンニクなどを加えて乳酸発酵させた朝鮮半島発祥の漬物です。
もともとは寒さの厳しい冬を乗り切るための保存食として、野菜を塩で漬け込んだのが始まりでした。やがて16世紀に日本から唐辛子が伝わったことで現在の形となります。
唐辛子の強い刺激、野菜の甘味、乳酸発酵によって生まれた酸味と旨み、塩辛さが複雑に絡み合ったキムチは独特な風味が特徴です。その数は350種類以上あると言われていて、キムチからは100種類以上の乳酸菌が見つかっています。
そんなキムチは韓国だけでなく日本でも人気の漬物です。2015年に一般社団法人食品需給研究センターが行った調査では、「野菜・果実漬物」の日本国内の生産量の中でキムチが最も多いという結果が出ています。

植物性乳酸菌を豊富に含むキムチ

キムチには植物性乳酸菌が含まれている

キムチには1gあたり数億個もの乳酸菌が含まれています。乳酸菌と聞くとヨーグルトなどの乳製品を思い浮かべますが、乳酸菌は野菜や穀物などの植物、空気中や土の中など自然界のあらゆるところに生息しています。
ヨーグルトに使われているのは動物の乳に住む動物性乳酸菌ですが、キムチなどの漬物には植物性乳酸菌が生息しています。

生きて腸に届く植物性乳酸菌

この植物性乳酸菌は、気温の変化が激しく、塩分や酸に晒されることもあり、栄養の乏しい過酷な環境の自然界で生きていくために強い生命力を備えています。
動物性乳酸菌は酸に弱い性質を持ち、食べ物から摂ってもその多くは胃酸や胆汁酸で死滅してしまいますが、植物性乳酸菌は違います。
酸にとても強いため、胃酸や胆汁酸で死滅することなく生きて腸まで届くプロバイオティクスの乳酸菌です。つまりキムチを食べることで乳酸菌を生きたまま腸に届けることができるのです。

キムチの乳酸菌はどこから来た?

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例えばヨーグルトの場合、作る過程で種菌となる乳酸菌を人工的に添加することで発酵を促します。ではキムチに含まれる乳酸菌はどこからやって来るのでしょうか。
キムチを含む漬物の多くは乳酸菌を人工的に添加しなくても、原材料由来の乳酸菌によって自然に乳酸発酵が進むのです。
キムチは白菜などの野菜やニンニクなどの薬味、アミの塩辛についた乳酸菌、さらに空気中を漂う乳酸菌が入り込むことで、時間をかけて発酵が進み増殖していきます。

地域によって乳酸菌の種類も一部異なっていて、土壌や海水から原料にたまたまついた乳酸菌もいると考えられています。
原料についた乳酸菌、自然に入り込んだ乳酸菌、そして適度な温度と時間という環境が揃ったときに乳酸発酵が行われ、酸味と旨みを持った食品となります。キムチは先人が行った偶然によって生まれた漬物なのかもしれませんね。

キムチが発酵する過程

ロイコノストック属とワイセラ属が増えて乳酸発酵が進む

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キムチの発酵は、まずロイコノストック属とワイセラ属の乳酸菌が増えていきます。これらは二酸化炭素を出す菌であり、材料の隙間にある酸素が追い出されることで酸素の少ない環境が作られます。
それによって雑菌などの酸素を好む菌やカビが減り、腐敗を防ぐことができます。

ラクトバチルス属が酸味と旨味を作り出す

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乳酸発酵が進むと、ラクトバチルス属が増えます。それによって酸味と旨みが生まれ、あのキムチ独特の風味とおいしさが作り出されます。
ただしラクトバチルス属は乳酸を大量に作る性質を持つことから、キムチの発酵過程で乳酸が過剰に増えてしまうと、酸味が強くなりすぎて、食べたときに「酸っぱい」と感じるようになってしまいます。ラクチバチルス属が増えすぎないように上手くコントロールすることが重要です。

温度と時間も重要

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キムチ作りには発酵の温度と時間も重要です。低温でゆっくり発酵させたキムチは旨みと酸味のバランスがちょうど良く、万人受けする味わいとなります。発酵の条件が異なると乳酸菌群の構成も違うものになるのだとか。

キムチは漬物と比べて塩分が控えめ

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また、使用する塩分を少なくできるのもキムチの特徴です。普通の漬物は塩漬けすることで防腐していますが、キムチは抗菌殺菌作用を持つ唐辛子を加えることで防腐しています。
いくら塩分に強い植物性乳酸菌とはいっても、あまりに高濃度の塩分下では増殖が抑制されてしまいます。日本のぬか漬けなどに、鷹の爪を入れるのも使用する塩の量を少なくするためです。

また、野菜に含まれるビタミンは塩漬けにすると失われてしまいますが、乳酸発酵することでビタミンは再合成されます。さらに乳酸発酵にはビタミンやミネラルを作る働きもあり、野菜に含まれていないビタミンB12がキムチには含まれています。

キムチに含まれる乳酸菌の種類

キムチからはさまざまな種類の乳酸菌が見つかっていて、ロイコノストック属、ラクトバチルス属、ワイセラ属を中心に100種類以上確認されています。代表的な乳酸菌には以下のようなものがあります。

・ラクトバチルス・サケイ
・ラクトバチルス・プランタラム
・ワイセラ・コリエンシス
・ロイコノストック・シトリウム
・ロイコノストック・メセンテロイデス

ロイコノストック属はチーズなどからも見つかっている乳酸菌です。ラクトバチルス属は乳酸桿菌とも呼ばれ、ヨーグルトや乳酸菌飲料などさまざまな食品作りに使われています。
ワイセラ・コリエンシスは天日干しにした塩から見つかったと言われる菌で、塩分に強く、アミノ酸の一種オルニチンをたくさん作る性質を持っています。
キムチから発見された独自の乳酸菌もたくさんあり、ロイコノストック・キムチイやラクトバチルス・キムチカスなどキムチに由来する名前がつけられたものもあります。

キムチに含まれる乳酸菌の効果

キムチ由来の乳酸菌にはさまざまな効果が

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キムチの健康効果と言えば、食欲を刺激する効果や、唐辛子に含まれるカプサイシンによって脂肪が燃焼されるダイエット効果が有名です。
もちろん乳酸菌をたくさん摂ることで整腸効果なども期待できますが、ほかにも近年の研究では、抗がん作用や抗酸化作用、動脈硬化を予防する作用などがあることが報告されています。
キムチ由来の乳酸菌に特化した研究も行われていて、生きた菌による整腸作用だけでなく、殺菌した乳酸菌には抗アトピー作用があることも報告されています。
韓国・ソウルにある世界キムチ研究所では、認知症予防やアレルギー対策などさまざまな研究が進められていて、さらなる研究成果が期待されています。

キムチから発見されたCJLP133乳酸菌

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CJLP133乳酸菌はラクトバチルス属プランタルム菌に属する菌株で、60年間培った食品技術を活かした7年に及ぶ研究によって、キムチから発見された植物性乳酸菌です。
韓国ではアトピー効果があると言われ大きな反響を呼んでいます。生後12ヶ月~13歳の乳児と子ども58名を対象に行った試験では、CJLP133乳酸菌2gを1日2回12週間摂ってもらいました。
その結果、敏感肌の深刻さを示す指数「SCORADスコア」が27.6点から20.4点に下がることが確認されました。このスコアは26点以上は症状が重いことを示すため、CLJP133乳酸菌を摂ったことで症状が軽減されることが分かりました。

浅漬けキムチには乳酸菌がほとんど含まれていない

調味液に漬けただけの浅漬けキムチ

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近年では韓流ブームや消費者の健康志向の高まりもあって、日本でもキムチの消費量が増えています。しかし、実は日本で流通しているキムチの多くは日本で作られたものです。
その理由としては、日本人と韓国人では味覚が異なり、韓国で伝統的に食べられているキムチの味を日本人好みに改良する必要があったからです。
このことはキムチをより身近な存在にしましたが、キムチ風味の調味液につけただけの浅漬けキムチが大量に出回ることにも繋がりました。

キムチ作りは手間がかかる

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キムチ作りにはとても手間がかかります。韓国で作られるキムチは半日から1日程度漬け込みますが、その後の保存では、空気に触れない環境で4℃程度の低温に保つ必要があります。韓国の一般家庭には専用のキムチ冷蔵庫があるほどです。
温度管理を誤ると発酵が進んですぐ酸っぱくなってしまうキムチはデリケートな食品です。

浅漬けキムチには乳酸菌はほとんど含まれていない

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そこで味の変化を防ぐ目的で「発酵止め」がなされ、調味液につけて味と香りをつけた浅漬けタイプのキムチが、安価な商品を中心にスーパーなどで多く売られているのです。
このような浅漬けキムチはそもそも発酵していないため、乳酸菌がほとんど含まれていません。乳酸菌による健康効果を期待するなら、伝統的な製法で作られたキムチを選びましょう。

本物のキムチと浅漬けキムチの見分け方

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本物のキムチと浅漬けキムチは、商品のパッケージ表記を目安に判断することができます。乳酸発酵させたキムチであれば、

「発酵の進み具合による味の変化」「発酵の進み具合による食べ頃の目安」「発酵による容器が膨張することの注意書き」

このような記載があります。また、実際に購入して、時間が経つほどに酸味が増すと感じたものは乳酸発酵している証です。

よりたくさんの乳酸菌を摂るなら水キムチ

普通のキムチより多くの乳酸菌を含んでいる

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韓国には唐辛子を使って漬ける赤いキムチのほかに、「白キムチ」と呼ばれる唐辛子を使用しないキムチも食べられています。
この白キムチを元に作られるのが、水と野菜などを発酵させて作る汁気の多さが特徴の水キムチです。唐辛子を使わないため辛さがなくマイルドでさっぱりとしています。
水キムチは普通のキムチより多くの乳酸菌を含んでいて、普通のキムチには1gあたり1億個強程度の乳酸菌が含まれているのに対して、水キムチは約3億個です。
ちなみに日本の伝統的な漬物であるぬか漬けには1600万個の乳酸菌が含まれていると言われますから、水キムチはその19倍にもなります。

水キムチの作り方

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韓国の家庭で作る水キムチはレシピもさまざま、漬け込む野菜は白菜、大根、キャベツ、セロリ、きゅうり、にんじんなどを使います。
乳酸菌は野菜の皮についているため、水で洗い皮を剥かずに漬け込みます。漬け汁にはビタミン、ミネラルなどが豊富に含まれるため、汁ごといただきましょう。韓国ではこの漬け汁を飲むことで二日酔い、頭痛、吐き気などが緩和するとされています。

【材料】好みの野菜 500g程度 水400ml 塩小さじ1と1/2 上新粉小さじ1 リンゴ1/2個 生姜1片 にんにく1片 酢大さじ2 はちみつ小さじ1

1)野菜は食べやすい大きさに切り、ポリ袋に入れて、塩をまぶして、30分程置いて水分を出します。
2)鍋に水、塩、上新粉を加えて混ぜ合わせてから加熱します。
3)常温に冷ました漬け汁に、酢とはちみつを加えてよく混ぜ合わせます。
4)塩漬けにした野菜を軽く搾って水気を切り、イチョウ切りしたりんご、スライスした生姜、ニンニクと一緒に漬け汁に入れます。
5)全体をよく混ぜて、常温で夏場は半日~1日程度、冬場は2~3日程度おきます。
6)発酵して細かい気泡が出来たら冷蔵庫へ移します。そのまま2週間程度は保存可能です。

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