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過敏性腸症候群に乳酸菌

若い世代の間で増えている過敏性腸症候群とは

過敏性腸症候群の特徴

いま20~40代の若い人たちの間で増えているのが過敏性腸症候群です。通勤中の電車内で、大事な仕事の打ち合わせ中に突発的な下痢や腹痛に見舞われる。かと思えば慢性的な便秘に苦しめられる。便秘と下痢を繰り返しお通じが安定しない。このような症状が特徴で、いまだにはっきりとした原因が特定されていません。
症状が軽い方が大半であり、医療機関を受診していない予備軍も多いと言われています。また深刻な症状に困り医療機関で検査を受けても、消化管にはっきりとした異常が見つからないのも特徴です。
ですが腸の働きに問題を抱えていることには違いなく、放置すると症状を悪化させる場合があります。

過敏性腸症候群のタイプ

過敏性腸症候群は症状の違いによって三つのタイプに分けられます。

下痢型:急な下痢と腹痛が引き起こされる
便秘型:何日も便通がなく、お腹が張りおならの量が増え腹痛が生じる
混合型:下痢と便秘を交互に繰り返す

考えられる原因はストレス

脳と腸がお互いに影響を与える脳腸相関

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過敏性腸症候群の主な原因として挙げられているのがストレスです。多忙な生活を送る現代人は仕事や人間関係で強いストレスに晒されがちです。
2016年に厚生労働省が行った「国民生活基礎調査」では、50%近くの方が日常生活でストレスや悩みを抱えていると回答しています。

ストレスと腸の働きは一見すると無関係に思えます。私たちがストレスを感じているのは脳です。ですが脳と腸は自律神経を通して繋がっているのです。
脳が持つ中枢神経系と腸が持つ腸神経系はそれぞれ独立していますが、お互いに影響しあっています。これを「脳腸相関」と言います。
脳が強いストレスを感じると自律神経を通して腸の働きにも悪影響を及ぼします。逆に腸内環境が悪化していると、その影響が脳に伝わり体のあちこちに不調が引き起こされます。

ストレスによる自律神経の乱れが便秘や下痢を引き起こす

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私たちの脳は強いストレスを感じると、不安や緊張といった感情が生まれ神経系の中枢である視床下部に伝わります。すると自律神経の働きに大きな影響を及ぼします。
自律神経には緊張や興奮を感じたときに優位になる交感神経と、心身が落ち着いたときに優位になる副交感神経があります。この二つの自律神経を交互に切り替えることで体の機能を正常に保っています。
ところが自律神経のバランスが乱れると、交感神経を優位にしなければいけない日中の時間に副交感神経が優位になったり、逆にリラックスしたい夜間に交感神経が優位になったりします。
交感神経が強く働きすぎると緊張状態が持続するため、便意を感じることができなくなり便秘が引き起こされます。逆に副交感神経が強く働きすぎると下痢や腹痛が引き起こされます。

腸内環境が改善されると過敏性腸症候群が改善される

そこで近年になり注目されているのが脳腸相関によるストレスの緩和です。腸内環境が改善されると脳腸相関で脳に良い影響があり、ストレスを緩和する効果が期待されています。
実際に優れた整腸作用を持つ乳酸菌の中には、ストレスを緩和する効果が認められているものがあります。ストレスが緩和されると自律神経のバランスが整えられるため、過敏性腸症候群の症状を改善できると考えられています。

また、強いストレスは腸内フローラにも悪影響を与えることが分かっています。例えば極限状態で働く宇宙飛行士の腸内フローラを調べる研究では、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が減少し、ウェルシュ菌などの悪玉菌が増加していることが確認されています。
これはストレスによって腸内環境が悪化することを示しています。しかし、脳腸相関で脳と腸が影響しあっているのですから、逆に言えば腸内環境を整えることで脳が感じるストレスを軽減することもできます。

乳酸菌は過敏性腸症候群にも有効

乳酸菌の働き

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優れた整腸作用を持つ乳酸菌は過敏性腸症候群の改善にも有効です。乳酸菌を生きた状態で腸に届けることができれば、乳酸や有機酸を生成して腸内のpHが下がり、腸内環境が酸性に近づきます。
善玉菌は弱酸性の環境を好み、悪玉菌はアルカリ性の環境を好みます。乳酸菌が生成する有機酸によって腸内にもともと生息していた善玉菌を活性化して増殖を促すことができます。
腸内の善玉菌が増殖すると、悪玉菌が抑制されるため、腸内フローラが改善されます。便秘や下痢が解消されて便通が良くなることで過敏性腸症候群の改善に繋がります。

ビフィズス菌の働き

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より優れた整腸作用が期待できるのが乳酸菌の仲間であるビフィズス菌です。私たちの腸内でビフィズス菌は善玉菌の95%以上を占めています。腸内環境の維持に欠かせない存在です。
酸素がある環境では生育できない性質を持つため、口から遠い大腸に生息しています。大腸は便を作り排泄を担う場所です。ビフィズス菌は大腸で殺菌力の強い酢酸を大量に生成することで、食べ物を動かしながら排出に導くぜん動運動を促してくれます。
ビフィズズ菌の働きで腸内フローラが改善され、ぜん動運動が促されることで便性が良くなり過敏性腸症候群の改善に繋がります。

お腹の調子が良くなると気持ちにも余裕が生まれる

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乳酸菌やビフィズス菌によって腸内フローラが改善されると、便秘や下痢が治まります。お腹の調子が良くなることで気持ちに余裕が生まれます。
それによって過敏性腸症候群の原因である強いストレスにも対処できるようになります。大事なことはまず腸内フローラの改善、そして心身をリラックスさせて気持ちに余裕を持つことです。

薬に依存しすぎず時間をかけて対処することが大切

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下剤や便秘薬に頼ることで一時的に症状が改善されますが、過敏性腸症候群の原因であるストレスに対処しないとまた症状が再発してしまいます。
特に下剤は副作用の問題があります。多様するとさらに腸の機能が低下して、自然な便意を感じることができなくなります。下剤なしでは排便が困難になると、過敏性腸症候群の改善どころではありません。
薬に依存しすぎることなく、まずはヨーグルトやサプリメントから乳酸菌やビフィズス菌を摂り、腸内フローラの改善を図りましょう。過敏性腸症候群は難しい病気ですから、焦らずに時間をかけて対処する必要があります。

過敏性腸症候群を改善する効果が認められた乳酸菌

ラブレ菌

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京都の伝統的な漬物であるすぐき漬けから発見された植物性乳酸菌です。過酷な環境を生き抜いてきた植物性乳酸菌は強い生命力を備えています。
ラブレ菌は胃酸や胆汁酸に負けることなく生きて腸に届き、高い生残率を誇ります。EPSと呼ばれる多糖の粘り成分を生成する性質があり、EPSによって菌体が守られることで消化液に対して強い耐性を持つと考えられています。
これまでの研究で優れた整腸作用や免疫力を高める作用のほかに、ラブレ菌は過敏性腸症候群に有効であることが分かっています。

【ラブレ菌の試験結果】
過敏性腸症候群と診断された6歳以上の男女23名を対象に試験を行いました。ラブレ菌を100億個以上含むカプセルとラブレ菌を含まないカプセルを交互に1日1カプセルを朝晩いずれかの食後に摂ってもらいました。
症状を評価をするために、腹痛の発生回数と排便回数と便性を日記に記録してもらい、便を採取して腸内フローラを調べました。
その結果、ラブレ菌を含むカプセルを取った期間は摂っていない期間と比べて、腹痛の発生回数が有意に少なく、便性が改善されて下痢の発生頻度が減ることが確認されました。
さらに腸内フローラを比較すると、ラブレ菌を摂っていた期間は悪玉菌の割合が少なく、善玉菌であるビフィズス菌の割合が多い傾向にあることが確認されました。

C-23ガセリ菌

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正式名称はラクトバチルス・ガセリ・CP2305株、脳腸相関によってストレスを原因とするさまざまな不調を改善する乳酸菌です。
これまでの研究ではストレスによる不安感の緩和、睡眠の質の改善、ストレス性の腹痛の改善などの効果が確認されています。さらに過敏性腸症候群の重症度を改善する効果が確認されています。

【C-23株の試験結果】
過敏性腸症候群患者34名を対象に、まず二つのグループに分けて、一方にはC-23ガセリ菌を含む食品を4週間摂ってもらいました。
その結果、C-23ガセリ菌を摂ることで、腹部の痛みの強さやお腹の張りの強さが有意に改善されたほか、正常な便性に戻ることが確認されました。
また摂取前に症状が重い方ほど摂取後の改善度合いが高いことも分かりました。

BE80株

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正式名称はビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス・BE80株、胃での生存率を高め生きて腸まで届くビフィズス菌です。
便の腸管通過時間を40%短縮することで便秘を改善するほか、過敏性腸症候群の症状を改善する効果が認められています。

【BE80株の試験結果】
過敏性腸症候群の方は食事を摂ると腹部が膨張します。そこで過敏性腸症候群の症状を持つ女性を対象に、BE80株を含むヨーグルトを毎日250g4週間摂ってもらいました。さらにワイヤーベルトを使って腹部の膨らみ具合を24時間計測しました。
その結果、昼食と夕食を摂った後の腹部の膨張が、BE80株を摂らなかった方は6cm程度でした。一方のBE80株を摂った方は1.5cm程度と、試験開始前よりも腹部の膨張が75%減少することが分かりました。
食後にお腹が膨張するのは、悪玉菌が食べ物に含まれるたんぱく質や脂質を分解して腐敗物質を作り出すためです。つまり腹部の膨張が改善されたということは、腸内環境が改善したことを示しています。

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