メインイメージ

二日酔い対策には乳酸菌が効く!

二日酔いとは

詳細を読む

お酒をたくさん飲んだ翌日に頭痛や胸焼け、胃腸の不調といった不快な症状に悩まされることがあります。これがいわゆる二日酔いで、アルコールを大量に摂取したことで肝細胞が有毒物質アセトアルデヒドを処理しきれなくなることで引き起こされます。
二日酔いが発生すると肝臓に脂肪が蓄積され、アルコール性の急性胃炎が発生したり、自律神経のバランスが乱れることで動悸が発生したりするほか、脱水症状を伴うこともあります。お酒に弱い人ほど症状も深刻になる傾向があり注意が必要です。

人類が酒と出会ってから数千年経った現代においても二日酔いのメカニズムについてはほとんど解明されていません。とはいえ同じようにお酒を飲んでいても、すぐ二日酔いになる人もいればなかなか二日酔いにならない人もいます。
いわゆる「お酒に強い、弱い」の違いはどこにあるのでしょうか? 日本人は欧米人に比べてアルコールを分解する能力が弱いと言われています。
一般的にお酒に強い人はアルコールの分解が速い人で、弱い人は分解に時間がかかる人と考えられています。

二日酔いが起こるメカニズムの一つとして考えられているのが、アセトアルデヒドです。
飲酒によって体内に入ったアルコールの大部分は肝臓で分解されます。
汗や尿などで体外に排出されるアルコールもありますが、その量は全体の数%に留まっています。90%以上のアルコールは肝臓のアルコール脱水素酵素(ADH)によってアセトアルデヒドに分解されます。
次にアセトアルデヒドはアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸へと分解されます。酢酸は血流に乗って肝臓から筋肉や心臓へと移動してさらに分解され、最終的には炭酸ガスと水に変わります。
アルコールの分解によって作られるアセトアルデヒドはアルコールの10倍以上毒性が強いため、二日酔いの主な原因となります。日本人はこのアセトアルデヒドを分解する酵素がもともと少ないため、欧米人と比べてお酒に弱い人が多い所以となっているのです。
また一般的に女性は男性よりもお酒に弱いと言われていますが、これはアルコールの分解にかかる時間が男性は平均で1時間に9gであるのに対して、女性は6.5gに留まるためです。ビール中瓶1本を飲んだとすると、アルコールの分解には男性は2.2時間、女性は3時間を要します。

アルコールの大半は小腸で吸収される

詳細を読む

飲酒によって摂取したアルコールの約20%は胃から、残りの80%は小腸上部から吸収され血管に流入します。血液中のアルコールが脳に到達すると、大脳細胞の一部が麻痺状態となって酔いを感じる仕組みです。アルコールの吸収は速く飲酒後1~2時間でほぼ吸収され、吸収とともに分解も始まります。
アルコールの血中濃度のピークは飲酒してから30分~2時間後で、その後は少しずつ低下していきます。つまりお酒を飲んでから慌てて対策しても二日酔いを防ぐことは難しいのです。

胃や腸から吸収されたアルコールは、門脈と呼ばれる太い静脈に入り肝臓を通過して全身の臓器へと運ばれます。そこから単純拡散によって広がっていきますが、アルコールは水によく溶ける性質を持つため、臓器の水分が拡散を速めます。
一般的に空腹時に飲酒すると酔いが回りやすいと言われています。これは空腹時は胃が空っぽの状態であるため、胃を素通りして短時間で小腸に到達しアルコールの吸収を速めてしまうためです。
空腹時にたくさん飲酒すると、アルコールの吸収が加速されて血中濃度の上がりやすくなります。そのため食事やつまみ類と一緒にゆっくり飲酒すると良いと言われています。それによってアルコールが胃に留まる時間が長くなり、小腸から吸収されるのを遅くできるため、血中アルコール濃度の上昇が穏やかになります。

お酒をたくさん飲む人は腸内フローラが悪化しやすい

詳細を読む

酒は百薬の長という言葉がありますが、飲酒も適量を守っていれば健康に良い効果が期待できます。アルコールは血行を良くし、胃腸を刺激することで消化酵素の分泌を促す働きがあり、食欲を増進させてくれるからです。

とはいえ過剰な飲酒は腸にとって刺激が強すぎるため悪影響が大きいと言われています。米国国立衛生研究所(NIH)の研究によると、アルコールを摂り過ぎることで腸内で毒性の強い悪玉菌が増殖し、腸内フローラが悪化してしまう恐れがあることが分かっています。
アルコールの摂取は腸内フローラを変化させます。腸内フローラはアルコールの分解にも影響しています。腸内フローラのバランスが乱れ、悪玉菌が増殖するとアルコールを分解する能力も低下してしまいます。
では大量にお酒を飲む習慣がある人は、腸内フローラがどのように変化するのでしょうか? 東北大学院工学研究科とアルコール依存症専門外来のある久里浜医療センター、国立がん研究センターなどが共同でアルコール依存症患者の腸内フローラを調べる研究を行いました。
アルコール依存症は飲酒によって得られるアルコールの作用に依存し、飲酒を自らコントロールすることができなくなる病気です。アルコール依存症になると腸内フローラにも影響すると言われています。
研究チームはアルコール依存症患者16名と健常者48名の糞便から菌叢構造を比較しました。その結果、アルコール依存症患者の便は、酸素がある環境で生育できないビフィズス菌などの偏性嫌気性菌が減少し、酸素のある環境でも生きられる乳酸桿菌、大腸菌、腸球菌などの通性嫌気性菌が増加していました。

またアルコール依存症患者の腸内フローラには、アルコールからアセトアルデヒドを生成する能力がほとんどないことも分かっています。
アセトアルデヒドはアルコールを分解する過程で作られる物質であるため、この物質が作られないということはアルコールを分解することが出来ないということでもあります。これまでの研究では、このアセトアルデヒドを作り出しているのがビフィズス菌などの偏性嫌気性菌であることが分かっています。
つまり大量にお酒を飲む習慣がある人は、ビフィズス菌(腸内環境を整える)などの偏性嫌気性菌が少なく、アルコール依存症になるとアセトアルデヒドがほとんど作られなくなるため、アルコールを分解する能力が極端に落ちてしまうのです。
飲酒による腸内フローラの悪化を防ぐためには、日ごろから乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を積極的に摂り、腸内フローラを善玉菌優位の状態に保つように心がけましょう。

二日酔い対策に乳酸菌

乳酸菌が二日酔いに良いというはっきりとしたメカニズムは分かっていませんが、世界各地ではお酒を飲む前に乳酸菌発酵食品を摂る習慣が根付いています。
ドイツではビールを飲むときに、キャベツを塩や砂糖で漬け込んで乳酸発酵させたザワークラウトを一緒に食べる習慣があります。ザワークラウトには酸に強い植物性乳酸菌が豊富に含まれていて、生きて腸まで届き高い整腸作用があります。
ブルガリアでは二日酔いを予防するために、お酒を飲むときにヨーグルトを水で薄めたドリンクを飲む習慣があります。このように乳酸菌を摂ることで二日酔いを予防しようという試みは昔から世界中で行われてきました。
また二日酔いには下痢を伴うこともあります。これは腸に到達したアルコールによって、腸が刺激されて食べ物を動かしながら排出させるぜん動運動が過剰に促進されてしまうためです。乳酸菌を摂ることで腸の働きが正常に戻ると下痢を予防することができますから、お酒を飲むときに乳酸菌を摂ることは理に適っています。

血中アルコール濃度を下げる乳酸菌発酵酒粕

乳酸菌は腸内環境を整えることで肝機能を向上させて、アルコールの分解を促すことが分かっています。大手酒造メーカーの月桂冠が行った研究によると、乳酸菌で発酵させた酒粕には血中アルコール濃度および血中アセトアルデヒド濃度を下げる効果があることが報告されています。
頭痛や吐き気などの原因であるアセトアルデヒドの血中濃度が下がることで、二日酔いの予防にも繋がります。

詳細を読む

月桂冠総合研究所が行った試験では20~40代の健康な男性19名に、最初に20mlの水または乳酸菌発酵酒粕を摂ってもらいました。その上で10分後にアルコール度数15%の清酒180mlを飲酒してもらい、飲酒後に呼気アルコール濃度を測定しました。
飲酒後1時間から3時間の呼気アルコール濃度は、乳酸菌発酵酒粕を摂ったグループでは水を摂ったグループと比較して、アルコール低減効果が約15%高くなることが確認されました。
次に乳酸菌発酵酒粕に肝臓を保護しアルコール分解を促す作用を持つオルニチンとクルクミンを配合したテスト飲料を摂ってもらい、呼気アルコール濃度を調べました。
その結果、テスト飲料を摂ったグループでは水を摂ったグループと比較して、飲酒2時間後と3時間後の呼気アルコール濃度が低下することが確認されました。

これらの研究結果から、乳酸発酵させた酒粕を飲酒前に摂ることで、アセトアルデヒドの血中濃度が低下することが分かり、二日酔いの予防に効果的であることが推定できます。
酒粕に含まれるどの成分がこのような効果をもたらしているかはまだ分かっていませんが、市販されている酒粕には生命力の強い植物性乳酸菌が豊富に含まれています。
酒粕を使った料理や酒粕から作られる甘酒を飲むことで二日酔い対策ができそうです。飲酒の習慣がある方は試してみてはいかがでしょうか。

関連記事の一覧