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乳酸菌は減少しやすい?

加齢とともに減少する乳酸菌

健康な人の腸では善玉菌が2割を占める

私たちの腸内には500種類以上100~1000兆個もの細菌が生息しています。これら腸内細菌はビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌、ウェルシュ菌や大腸菌などの悪玉菌、そのどちらにも属さない日和見菌に分かれ、それぞれ種類ごとにまとまり腸内フローラを形成しています。
このうち健康な人の腸では約2割ほどが善玉菌で占められています。しかし、腸内に住める細菌の数には限界があるため、乳酸菌やビフィズス菌の数は常に一定ではなく、悪玉菌が増えれば善玉菌は減ってしまいます。腸内では常に善玉菌と悪玉菌が勢力争いを繰り広げているのです。

赤ちゃんから青年期までは善玉菌が優勢

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腸内の乳酸菌が減少する原因の一つに加齢があります。生まれたばかりの赤ちゃんの腸は95%以上がビフィズス菌で占められていますが、これはビフィズス菌を増やすラクトフェリンやエサとなるオリゴ糖を含んだ母乳を飲むことで、いち早く腸内でビフィズス菌が優勢になるためです。

離乳開始から成年期にかけてビフィズス菌の数は少しずつ減っていき、腸内細菌全体の10~20%前後で落ち着きます。代わって増えるのはバクテロイデスなどの日和見菌で全体の7割を占めるようになります。この時点ではウェルシュ菌などの悪玉菌は全体の1~2割程度と比較的少なく、大きく増殖することなく安定しています。

老年期を迎えるとビフィズス菌が減少

ところが成年期から老年期を迎える頃になるとビフィズス菌の数は大きく減少に転じ、老年期には腸内細菌全体の1%前後まで減ってしまいます。
一方、腸内にはビフィズス菌のほかに乳酸菌も生息しています。腸内に住む乳酸菌はビフィズス菌とは違い成年期までは一定を保ち、老年期に入る頃になると増加傾向になります。
しかし、腸内に住む乳酸菌の数はビフィズス菌の1/1000~1/100、腸内細菌全体の1%以下と極めて少数であるため、増えてもビフィズス菌の数に近づくだけで腸内フローラに与える影響は限定的です。

善玉菌全体としては加齢によって減少し、それに代わって悪玉菌が増えていきます。これは歳をとると胃酸の働きが低下し、腸の機能が衰えることで、若い頃よりも食べ物の消化に時間がかかり腸に長く留まるためです。

ストレスで減少する乳酸菌

精神的ストレスでビフィズス菌が急減

腸内のビフィズス菌や乳酸菌が減る原因は加齢だけではありません。日常生活で感じるストレスによっても減少していきます。

日々多忙を極めている現代人は常に強いストレスに晒されていて、仕事や家事による肉体的疲労、人間関係や心配事などによる精神的疲労、生活習慣の乱れ、栄養失調、さらには暑さや寒さなどの環境の変化まで体に負担をかけるもの全てがストレスとなります。
特に大きく影響するのが精神的なストレスで、ビフィズス菌が急激に減少するため、腸内フローラが老人型に近づき元に戻るのに1週間程度を要します。
よく「ストレスで胃に穴が開く」と言われますが、それほどストレスが胃腸に及ぼす影響は大きいのです。

【ストレスと善玉菌数の関係を調べた実験】

ストレスとビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌数の関係を調べる有名な研究には、極限状態に身を置き常に強いストレスに晒されている宇宙飛行士を対象に行った研究が有名です。
訓練中の宇宙飛行士の糞便を調べ、善玉菌と悪玉菌の数を比較したところ、乳酸桿菌やビフィズス菌は減少し、大腸菌群とウェルシュ菌が増加していることが認められました。

腸は自律神経を通じてストレスの影響を受ける

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ストレスは自律神経に影響を与えます。
自律神経には交感神経と副交感神経がありますが、緊張や興奮、不安、怒りや悲しみ、恐怖といった心理状態になると交感神経が優位となり、胃では胃酸の分泌が抑制されて消化不良を引き起こし、腸では食べ物を動かしながら排出に導くぜん動運動の停滞によって便秘が引き起こされます。
これによって腸には腐敗した食べ物が溜まっていき、悪玉菌の増殖に繋がりその結果として善玉菌は減少してしまいます。
腸内のビフィズス菌や乳酸菌を減らさないためには、ストレスを溜め込まないことが重要です。仕事や家事で無理をしないように心がけ、趣味やスポーツ、リクゼーションなどを定期的に行ってストレスを発散しましょう。

食生活の偏りが乳酸菌を減少させる

食物繊維とオリゴ糖は善玉菌の増殖を促す

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ストレスと並んで腸内のビフィズス菌や乳酸菌を減らす原因となるのが食生活です。
野菜や果物に豊富に含まれている食物繊維とオリゴ糖は善玉菌のエサとなることで増殖を促してくれます。

腸内環境を整えてくれる善玉菌もエネルギー源となるエサがないと活動することができません。腸内細菌は生きられる期間が短いため、増殖できないとあっという間に数を減らしてしまいます。

現代人の食生活は悪玉菌を増やしやすい

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ところが現代人の食生活は昭和の後半から急速に欧米化が進み、肉の摂取量が右肩上がりで増える一方で、野菜の摂取量は減り続けています。
成人が1日に必要な野菜の量は350gですが、到底足りていないのが現状なのです。野菜や果物を摂ることで善玉菌の増殖を促すことができますが、肉類の過剰摂取は悪玉菌を増やしてしまいます。

その理由としては、肉類に含まれるたんぱく質とアミノ酸が悪玉菌のエサとなり生育を助けること、野菜や果物よりも消化に時間がかかるため、長く腸内に留まることで悪玉菌が腐敗させてしまい宿便として溜まりやすいことが挙げられます。

このような肉食中心の偏った生活によって増殖した悪玉菌は、腸内でアンモニアや硫化水素などの有害物質を作り出し、自らの活動に適したアルカリ性へと腸内環境を変えてしまいます。
その結果として、悪玉菌優勢の腸内環境となりビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌はどんどん減っていくのです。腸内のビフィズス菌や乳酸菌を減らさないためには、肉類に偏った食生活から野菜中心の食生活に変えていく必要があります。

運動不足が乳酸菌を減らす

運動不足になると筋肉を使わなくなるため筋力が落ちてしまい、腹筋が弱くなります。腹筋を動かすと腸を刺激することが出来ますが、腹筋が弱いと腸のぜん動運動が停滞するため宿便が溜まるようになり便秘が引き起こされます。
慢性的な便秘はビフィズス菌を減らすことも確認されています。

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また、運動不足は腸の血流を悪くし、腸そのものの働きも低下させてしまいます。このような運動不足による便秘や腸機能の低下は、腸内環境を悪玉菌の増殖に適した環境に変えてしまい善玉菌の活動も妨げてしまいます。

腸内のビフィズス菌や乳酸菌を減らさないためには、運動する習慣を身につけて運動不足を解消しましょう。体を動かすことで腸が刺激されて、ぜん動運動も活発になり便秘の解消に繋がります。便秘が解消されると、腸内に溜まった腐敗物も少しずつ排出されていくため悪玉菌の増殖を抑制することが出来ます。

ダイエットで乳酸菌が減ることも

年齢とともに基礎代謝が落ちていくためカロリーの摂りすぎに気をつけましょう。カロリー摂取過多は腸に消化しきれないほどの食べ物を送ることになりますから、長く食べ物が腸内に留まり悪玉菌のエサとなり増殖を促してしまいます。

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代謝を上げるために適度な運動は効果的です。
しかし、無理な食事制限によるダイエットは逆効果となります。食事の量を減らしすぎることで、食物繊維の摂取量まで減ってしまい腸内環境を悪化させてしまう人が増えています。

また無理なダイエットは便秘になりやすく、栄養摂取量も減るため腸内細菌そのものが減ってしまいます。ダイエット中も野菜や果物など食物繊維を豊富に含んだ食品や、乳酸菌を豊富に含んだヨーグルトなどを取り入れて腸内の乳酸菌を減らさないようにしましょう。

ヨーグルトは2日以内に食べないと乳酸菌が減少する

乳酸菌が減るのは腸内だけではありません。ヨーグルトやチーズなどの乳製品、ぬか漬けやキムチなどの漬物、味噌、醤油などには豊富な乳酸菌が含まれていますが、これら食品に含まれた乳酸菌も乳酸発酵が行われなくなると減少していきます。

動物性乳酸菌は長く活動できない

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保存中も少しずつ熟成が進む漬物や、醤油や味噌は加熱しなければ乳酸菌が減りません。これらの野菜や穀物から作られる食品に含まれている乳酸菌は、生命力が強い植物性乳酸菌ですから長く活動することができます。

一方、ヨーグルトに含まれる動物性乳酸菌は長く活動することができないため、時間が経つほどに減少していくとされています。
これらの食品に含まれる乳酸菌の量は出来てから1~2日が最も多く、7日後には半分に減ると言われています。市販のヨーグルトに表記されている乳酸菌の量は工場生産されてから1~2日頃の数字です。

ヨーグルトは早めに消費しよう

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もちろん死んでしまった乳酸菌にも全く効果がないというわけではなく、腸内で善玉菌のエサとなることで一定の整腸作用が期待できます。
ですが生きた乳酸菌には腸内で大量に乳酸を作り出す働きがあるため、高い整腸作用があるほか、免疫力向上、アレルギーの抑制、コレステロールの低下、美肌効果などさまざまな健康効果も期待できます。
せっかく良い乳酸菌を使っていても数が減ってしまっては効果も落ちてしまいます。ヨーグルトを購入するときは製造から日が経っていない新鮮なものを選び、早めに食べるように心がけましょう。

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