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乳酸と乳酸菌って同じなの?

乳酸菌と乳酸の関係

ヨーグルトで知られる健康成分の乳酸菌と、疲れの源とも言われることのある乳酸、この二つは同じものなのかという素朴な疑問があります。

乳酸菌と乳酸にはどのような違いがあるのでしょうか? それを知るためには乳酸菌とは具体的に何なのか、改めて見てみる必要があります。

厳密には乳酸菌は「消費した糖(グルコース)に対して50%以上の乳酸を作り出す菌」と定義されています。これに対して、広義の意味での乳酸菌とは乳酸を作り出す菌全てを指しています。よく「乳酸菌とビフィズス菌に違いはあるのか?」という質問を見かけますが、乳酸菌もビフィズス菌もどちらも乳酸を作り出すので、広義ではビフィズス菌も乳酸菌と言えます。

乳酸菌に元から乳酸が含まれているわけではなく、糖を代謝することで乳酸を作り出しているのです。

乳酸とは

では乳酸とはどのような物質なのでしょうか? 乳酸は乳酸菌と名前が似ていますが、この二つは全く異なる働きをする物質です。
乳酸は科学的にはヒドロキシ酸のひとつで水溶性の有機化合物です。ヒドロキシ酸はほかにグリセリン酸、クエン酸、グリコール酸などがあります。

疲労物質と考えられてきた乳酸

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私たちの体は、運動によって筋肉を動かすと、グリコーゲンやブドウ糖などの糖を分解して乳酸を作り出します。
この乳酸はいわばエネルギーを消耗したことによって出る燃えカスとして、体内に蓄積されることで筋肉を疲労させると従来は考えられてきました。
体内に乳酸が溜まると代謝機能が低下して、筋肉のpHが酸性となることで、筋肉痛などの症状が引き起こされます。これが乳酸が疲労物質と言われていた理由です。

乳酸はむしろ疲労回復を助ける

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しかし、近年の研究では運動によって作り出される乳酸は単なる老廃物ではなく、むしろ疲労回復を早めるために作り出される物質であることが分かっています。

これまで乳酸は疲労の原因であり、疲労が溜まるのを防ぐには体内の乳酸値を下げる必要がある、乳酸が作られなければ疲労を感じずにいつまでも筋肉を動かせると信じられてきました。

これは全くの誤解だったのです。
体が乳酸を分解する限界を超えると、一時的に乳酸が増えて疲労を感じさせますが、グリコーゲンに分解されることでエネルギー源として再利用されます。
また、糖は心臓を動かす貴重なエネルギー源でもあり、体が糖不足に陥ったときに乳酸がその代用にもなります。

乳酸と乳酸菌は違うもの

乳酸は糖を分解することで作り出される物質です。
乳酸菌は乳酸を作り出す菌のことです。
つまり「乳酸菌と乳酸は同じものなのか?」という疑問の答えは『違う』ということになります。

運動によって体内で作り出される乳酸も、乳酸菌が作り出す乳酸も、どちらもpHを下げて酸性に変える働きをするのは同じですが、それによって得られる効果は全く異なります。
運動によって作り出される乳酸は、筋肉に疲れを感じさせ、エネルギー源として再利用されることで疲労回復を早めますが、ヨーグルトなどから乳酸菌を摂ったからといって疲労回復には繋がりません。
乳酸菌が糖を分解して作り出す乳酸は、腸内では善玉菌の増殖を促し、ヨーグルトや漬物などの発酵食品では腐敗を防ぎ長持ちさせる効果があります。

生きた乳酸菌が作り出す乳酸

乳酸菌が腸内で乳酸を作り出すためには生きて腸まで届く必要があります。ところが多くの乳酸菌は酸に弱い性質を持っているため、胃酸や胆汁酸で死滅してしまいます。
しかし、乳酸菌の中には酸に強い性質を持つものもあります。乳酸菌の中でも発酵食品に生息している植物性乳酸菌は強い生命力を持っていて、腸内で大量の乳酸を作り出すのが特徴です。
このような性質を持ち、生きて腸まで届き体に良い影響を与える乳酸菌などの微生物をプロバイオティクスと言います。
つまり善玉菌の活動に適した腸内環境に整える乳酸の作用を期待するなら、プロバイオティクスの乳酸菌を摂る必要があるということです。

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