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乳酸菌の糖尿病に対する意外な効果

糖尿病と腸内環境の関係

増える糖尿病患者

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日本人にとって最も深刻な生活習慣病のひとつが糖尿病です。食事の欧米化や運動不足などが原因で、日本の糖尿病患者数は年々増え続けています。
厚生労働省が発表した平成28年「国民健康・栄養調査」によると、「糖尿病が強く疑われる人」の割合は、12.1%で、約1000万人と推計されていて、平成9年以降増加傾向にあります。
糖尿病と聞くと男性の病気と思われがちですが、男女別では男性16.3%、女性9.3%、「糖尿病の可能性がある人」も含めると男性12.2%、女性12.1%と女性にとっても深刻な病気であることが分かります。

糖尿病とは

糖尿病はインスリンが不足することで血糖値が高くなる症状で、先天的な1型と生活習慣を原因とする後天的な2型に分かれます。
主に中高年の方が発症する病気で、男性のほうが罹りやすいと言われています。糖尿病を放置すると体にさまざまな影響がでて、重度になると手足の壊疽や失明に至ります。

腸内フローラの乱れは糖尿病を悪化させる

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そんな糖尿病は腸内環境と密接に関係していることが分かっています。順天堂大学が行った2型糖尿病患者と非糖尿病者を対象に行った研究では、2型糖尿病患者は腸内フローラのバランスが乱れていて、50名中14名の血液からは腸内のみに生息しているはずの腸内細菌が検出されました。
この研究結果から、腸内フローラのバランスが乱れることで、腸管が破壊されそこから腸内細菌が流出することが分かりました。
腸内細菌の血液への流出は、慢性的な炎症を引き起こし糖尿病の症状を悪化させるとされています。

腸管バリア機能の強化で血中への腸内細菌流出が抑制される

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さらにプロバイオティクスの飲料を摂ることで腸管バリア機能が強化され、血中への腸内細菌流出が抑制されることも分かっています。
試験では30~79歳の2型糖尿病患者34名に、「ラクトバチルス カゼイ菌シロタ株」を400億個含むプロバイオティクスの乳酸菌飲料を継続して摂ってもらいました。
摂取8週間後と16週間後には便と血中の腸内フローラを解析しました。その結果、腸内から血液に流出した腸内細菌の数が16週後には大幅に減少していることが分かりました。

腸内環境の改善が慢性的な炎症を抑制する可能性がある

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このことからプロバイオディクスの乳酸菌を摂ることで腸内環境が改善されると、腸管バリアが強化され2型糖尿病の慢性的炎症を抑えることが推定されます。

2型糖尿病は、インスリンの分泌機能の低下と、インスリンが正常に働かなくなるインスリン抵抗性によって、血糖値の上昇を引き起こす病気です。
ブロバイオティクスの働きによって炎症が抑制され、インスリン抵抗性も改善されれば糖尿病の予防に繋がると期待されています。

乳酸菌が血糖値の上昇を抑制する

腸内環境の改善が糖尿病予防に繋がる

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乳酸菌は糖から乳酸を生成することで、腸内を悪玉菌が好むアルカリ性から善玉菌が好む弱酸性に変える働きがあります。
腸内環境が改善され善玉菌が増殖し悪玉菌が減ると、すい臓のインスリン分泌機能も正常になり、血糖値の調整に支障がなくなり、糖尿病の予防に繋がります。

血糖値の上昇を抑制する作用を調べた実験

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乳酸菌には血糖値の上昇を抑制する作用があることもラットを使った試験で確認されています。
試験ではラットを2つのグループに分け、一方のグループには2%の割合で乳酸菌を添加した粉末飼料を14日間与え、 ラットを18時間絶食させた後、12日目には麦芽糖を、14日目にはブドウ糖を経口投与し、採血を行い血糖値を調べました。
その結果、乳酸菌を摂ることで食後の血糖値上昇を抑える作用があることが認められました。
さらにブドウ糖投与後の血糖上昇値と血清インスリン上昇値も、乳酸菌を摂らないラットより低く抑えられ、ブドウ糖の吸収抑制作用があることが分かりました。

血糖値の急上昇の抑制が糖尿病発症のリスクを下げる

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食後の急激な血糖値の上昇は、インスリンの分泌を繰り返すことですい臓の機能を消耗させ、結果的にインスリンの分泌が低下すると考えられています。
乳酸菌を摂ることで食後の急激な血糖値上昇を抑えられれば、インスリンの分泌も抑制され、糖尿病の発症リスクが低下するのではと期待されています。

ヨーグルトを摂ることで糖尿病のリスクを下げられる

2型糖尿病発症のリスクを下げる可能性がある

腸内環境を整えるヨーグルトは糖尿病予防にも効果的と考えられていて、世界中でヨーグルトと糖尿病の関係を解明する研究が行われています。

ハーバード公衆衛生大学院栄養学部のフランク教授らが行った研究では、ヨーグルトには2型糖尿病発症のリスクを下げる可能性があることが分かりました。
研究チームがアメリカで行った大規模調査は、「医療従事者追跡研究」1986~2010年、「看護師ヘルス研究」1980~2010年、「看護師ヘルス研究2」1991~2009年と3つに及び計10万人以上が参加しました。
そのうち約1万5千人が調査期間中に2型糖尿病を発症しました。これらの調査では、参加者に健康状態についてアンケートに答えてもらい、追跡率は90%を超えました。
長期に渡る調査の結果、ヨーグルトを毎日28g食べていると、2型糖尿病の発症リスクが18%低下することが認められました。

この研究は大規模かつ追跡率も高いため信頼できると研究者は指摘し、「食生活にヨーグルトを取り入れることには意味がある」と述べています。
なおこのような結果になったメカニズムは、研究結果が発表された2014年時点では明らかになっていません。

ホエイはGLP-1の分泌を促進

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またヨーグルトには乳酸菌発酵液であるホエイ(乳清)が含まれていますが、このホエイを炭水化物の摂取前に摂ることで、すい臓からのインスリン分泌の促進と血糖値の上昇を抑える作用のある「グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)」が分泌されます。
ほかにもプロバイオティクスの乳酸菌を含んだヨーグルトの一部には、血中コレステロールを下げる作用が認められています。
このようなヨーグルトの効果は、2型糖尿病の発症リスクを下げると考えられているのです。

糖尿病予防に効果のある乳酸菌の種類

これまで紹介した研究で、乳酸菌には糖尿病を予防する効果が期待できることが分かりましたが、乳酸菌にはさまざまな種類があり特徴もそれぞれ異なります。
糖尿病予防に関しては、具体的にどの乳酸菌が有効であるのかまでは解明されていない部分が多いのが実情です。
そんな中で以下の乳酸菌は血糖値の上昇を抑える効果を認めるエビデンスが示されています。

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・LAB4
株式会社カネカが保有する食品から分離した乳酸菌で、血糖値の上昇を抑える作用があることが認められています。
健康なボランティアの方にLBA4を100mg含むカプセルを摂ってもらった後、ブドウ糖75gを摂ってもらい、血糖値を調べる試験では、何も摂らない状態よりも血糖値のピークが低くなり、インスリンの過剰分泌を防ぐことが分かりました。

・クレモリス菌FC株
クレモリス菌FC株は多糖類のEPSと呼ばれる粘り成分を作り出しますが、血糖値の上昇を抑える作用があることが認められています。
マウスにブドウ糖と一緒にクレモリス菌FC株を含むカスピ海ヨーグルトを投与したところ、ブドウ糖のみを投与したマウスに比べて血糖値の上昇が緩やかになることが分かりました。
またEPSを生成しないクレモリス菌を含むヨーグルトと効果を比較した試験では、EPSを生成するクレモリス菌を含むヨーグルトを摂ったマウスのほうが血糖値の上昇が緩やかになることも分かりまた。
このことからクレモリス菌が作り出すEPSが血糖値の上昇を抑える作用をもたらすものと推定されます。

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