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乳酸菌でがん予防

日本人の死亡原因1位のがん

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日本人の死亡原因で最も多くを占めているのは男女ともにがんです。2016年には合わせて約37万人の方が、がんで亡くなっています。
がんの種類別で死亡数上位を占めているのは、男性は1位が肺がん、2位が胃がん、3位が大腸がんで、女性は1位が大腸がん、2位が肺がん、3位が膵臓がんです。
このように、私たち日本人は体のさまざまな部位に発生したがんにより命を落としています。世代別で見ると男女ともに60代から増加し、高齢になるほどがんによる死亡率が高い傾向にあります。
40歳以上の男性では胃や大腸などの消化器系のがんによる死亡数が特に多い傾向にあります。女性は40代では乳がんや子宮がん、卵巣がんの死亡数が多い傾向にあり、高齢になると男性と同じように消化器系のがんと肺がんが増える傾向にあります。

がんと腸内フローラの関係

がんと腸内フローラは密接な関係があることが、これまでの研究で分かっています。腸が関係するがんと言えば大腸がんや結腸がんを思い浮かべますが、腸内フローラの悪化によって他のがんのリスクが高まる可能性があります。
これは日本で腸内細菌の第一人者である東京大学の光岡知足名誉教授が行った研究で明らかになっています。
1981年に行われた研究では、東京都老人総合研究所(現在は東京都健康長寿医療センター)に依頼して、がん患者の検体を提供してもらい腸内フローラを観察しました。
提供された検体は胃がんが39人、大腸がんが44人でしたが、健康な54人の腸内フローラと比較したところ、がんの種類によって腸内細菌の構成が大きく変わることが分かりました。
具体的には、胃がんではウェルシュ菌や腸球菌といった悪玉菌の割合が多く、逆にビフィズス菌の割合が低い傾向にあったのです。他にも、ブドウ球菌や緑膿菌といった悪玉菌の増殖によって、有害な働きをする日和見菌が多いことも分かりました。
一方の大腸がんでは、バクテロイデスなどの日和見菌が多く、ウェルシュ菌はそれほど多く検出されませんでした。
このようにがんの種類によって腸内フローラが大きく異なるということは、腸内細菌ががんの発症に深く関係していることが推定できます。

免疫の仕組み

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私たちの体内には病気の感染リスクを最小限に抑えるための免疫システムが備わっています。ウイルスや細菌が口などから体内に侵入しても、容易に感染することがないのはこの免疫システムのおかげです。
免疫システムを動かしているのは免疫細胞です。そのうち約7割が腸に集中していて、これを腸管免疫と呼びます。口と消化管で繋がり、耐えず呼吸や食事によって病原体が入り込む腸は最も重要な免疫器官です。
腸管免疫の中で総司令部のような役割をしている場所が、小腸の粘膜にあるパイエル板です。このパイエル板は、他の小腸粘膜のように絨毛がなく表面が平らになっているのが特徴で、免疫細胞であるリンパ球が集まっています。
さらにパイエル板には、腸内に入り込んだ物質を食べ物などの無害なものか、病原体など体に害を与える可能性のある異物であるかを判断するM細胞があります。
パイエル板に接触した異物はM細胞によって取り込まれ、その下で待機していた樹状細胞や体内をパトロールしているマクロファージに食べられます。
それによって異物の情報がヘルパーT細胞やB細胞に伝えられ、免疫物質である抗体やサイトカイン(白血球などから分泌されるたんぱく質)を作るように指令を出します。
また、免疫細胞はウイルスや細菌などの病原体の侵入を食い止めるだけでなく、侵入されたとしても殺菌して無力化し、体内で発生するがんの原因である腫瘍細胞を除去する働きもします。

がんを予防する乳酸菌

免疫細胞を活性化する乳酸菌

免疫細胞が刺激される仕組み

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食べ物などから摂った乳酸菌は、胃を通過して小腸に到達しますが、一部はパイエル板に取り込まれます。パイエル板に吸収された乳酸菌はまず樹上細胞に捕らえられ、マクロファージにも食べられます。
それによって、樹上細胞とマクロファージは乳酸菌の情報をヘルパーT細胞やB細胞に伝え、サイトカインを分泌するように指令を出します。
このサイトカインには、がん細胞の増殖を抑える働きを持つインターフェロン-αなどがあり、これらが多く分泌されることでがんの発症リスクを下げることができます。
このように乳酸菌によって免疫細胞が刺激されて、出動する機会が増えることで、病気に対して敏感になり免疫力を高めることができます。

NK細胞を刺激する乳酸菌

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NK(ナチュラルキラー)細胞は白血球全体の10~20%を占める免疫細胞です。体内を常にパトロールしていて、ウイルスや細菌を発見すると自ら攻撃をしかけて殺菌し無力化します。
さらに腫瘍細胞を融解して除去することでがんのリスクを引き下げる働きもします。NK細胞は免疫の最前線で働く免疫細胞であり、がんの予防にはNK細胞を活性化させることが有効です。
一部の乳酸菌にはNK細胞を活性化する働きが認められています。シロタ株、プラズマ乳酸菌(JCM5805株)、R-1乳酸菌(OLL1073R-1)、BB536株、LKM512株、ビフィズス菌SP株(SBT2928株)、ラブレ菌などがNK細胞を活性化させる代表的な乳酸菌です。

プラズマサイトイド樹状細胞を活性化するプラズマ乳酸菌

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プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)は免疫細胞の一つで、ウイルスに反応して活性化する性質があり、インターフェロン-αを産生する働きがあります。
インターフェロン-αは腫瘍壊死因子とも呼ばれるサイトカインで、がん細胞の増殖を抑制し壊死させることから、がん治療にも使われています。

そこで、乳酸菌がpDCの活性化にも有効なのではと考えて、31菌種125株の乳酸菌をマウス由来のpDCと接触させて、インターフェロン-αが産生されるか調べました。
その結果、ほとんどの乳酸菌がpDCを活性化できませんでしたが、ごく少数の乳酸菌にはpDCを活性化する高い効果があることが確認されました。
その乳酸菌とは、チーズ製造に使われるラクトコッカス・ラクティスに属する乳酸菌であり、研究チームによってプラズマ乳酸菌と命名されました。
従来の乳酸菌はパイエル板に取り込まれるとまずマクロファージを刺激します。それによって間接的にNK細胞などが活性化されたり、インターフェロン-αの分泌が促していました。
一方のプラズマ乳酸菌は、マクロファージを刺激するとともに、pDCに直接作用することでインターフェロン-αの分泌を促します。このためより優れたがん予防効果が期待できます。
さらに、プラズマ乳酸菌はインターフェロン-α以外にも、がん細胞の増殖を抑制するインターフェロン-βの産生を促すことも分かっています。

悪玉菌を抑制して大腸がんリスクを下げる

大腸がんのリスクを高める悪玉菌

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大腸に生息する大腸菌やウェルシュ菌といった悪玉菌は、肉などに含まれるたんぱく質を腐敗させ、二次胆汁酸やニトロソアミンといった発がん物質を作り出します。
このうち大腸菌は有害性があるとはいえ、ビタミンの合成や消化、吸収に関わる菌であり、体の維持にも一定の貢献をしています。ところが腸内環境が悪化すると活発になり、胆汁酸を酸化させて二次胆汁酸という物質に変えてしまいます。
一方のウェルシュ菌は全くと言っていいほど良いところがなく、体に有害であり病原性のみを持つ悪玉菌の代表です。
ウェルシュ菌は健康な人の腸内では数が少なく、普段はそれほど悪影響を及ぼしません。それが腸内環境の悪化によって善玉菌の活動が弱くなると、腸内フローラのバランスが悪玉菌優勢に偏ります。
それによって普段は善玉菌にも悪玉菌にも味方をしない日和見菌が悪玉菌に味方をして、ウェルシュ菌の働きが活発になり増殖をはじめます。
ウェルシュ菌が腸内で活発になると、肉などに含まれるたんぱく質を分解してニトロアソミンを作り出し、大腸がんのリスクを高めてしまいます。

悪玉菌が増加する原因は加齢と食事

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がんリスクを高める悪玉菌の増加の原因として考えられるのが、加齢と食事です。健康な成人の腸内に占める腸内細菌の割合は、善玉菌2割、悪玉菌1割です。
この善玉菌2割を維持することで腸内環境を良好に保ち健康維持に繋げることができます。ところが歳を重ねると、腸内に生息する善玉菌の95%以上を占めるビフィズス菌の数が減少し、代わって悪玉菌が増殖していきます。
食事も悪玉菌の増殖に大きく関係しています。悪玉菌は肉類に含まれるたんぱく質や脂質をエサに増殖する性質があるため、肉類に偏った食生活を送っていると悪玉菌の増殖を引き起こしてしまいます。

ビフィズス菌を摂って悪玉菌を抑制しよう

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そこで摂りたいのがビフィズス菌です。乳酸菌は大きく分けて乳酸桿菌、乳酸球菌、ビフィズス菌があります。このうちビフィズス菌は酸素を嫌う偏性嫌気性菌で、口から遠く酸素がほとんど届かない大腸で働きます。
ビフィズス菌を生きた状態で大腸に届けることができれば、大量の乳酸や酢酸などの有機酸を生成して、大腸を善玉菌の活動に適した弱酸性に変える働きがあります。
それによって善玉菌の増殖が促されて悪玉菌が抑制されます。またビフィズス菌によって大腸が刺激されることで、食べ物を動かしながら排出させるぜん動運動が活発になり、悪玉菌が作り出した二次胆汁酸などの有害物質が排出されていきます。

胃がんのリスクを下げる乳酸菌

胃がんの原因ピロリ菌

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2014年、世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関は、胃がんの8割はピロリ菌が原因であると発表しました。ピロリ菌は胃の健康を悪化させる悪玉菌の代表で、胃の粘膜に生息し、胃がんや胃潰瘍などを引き起こすことで知られています。
日本国内のピロリ菌感染者は全人口の半分にあたる6000万人、50代以上になると70~80%がピロリ菌に感染していると言われています。
ピロリ菌に感染すると胃の粘膜で胃炎が発生します。この炎症で粘膜が弱ることで胃酸の刺激を受けやすくなり、長期間続くと胃潰瘍になり、悪化するとやがて胃がんを発症すると考えられています。
ピロリ菌感染経験者は、ピロリ菌に感染したことのない人と比べて胃がんのリスクが5~10倍高いという報告もあります。

ピロリ菌を除去する乳酸菌

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ピロリ菌は病院で抗生剤を投与することで除去することができます。しかし、抗生剤は体に有用な善玉菌まで殺してしまううえ、投与を続けることで耐性菌が生まれるという大きな問題点が指摘されています。
そこで期待したいのが一部の乳酸菌が持つピロリ菌除去効果です。例えばLG21乳酸菌(OLL2716株)は胃酸に強い性質を持ち、胃の中で乳酸を生成してピロリ菌を減らす働きが認められています。
SN13T株とSN35N株は、カテコール、チロソールといった抗ピロリ菌作用を持つ物質を作り出すことで、ピロリ菌を抑制します。

膀胱がんの再発リスクを下げるシロタ株

膀胱がんの特徴

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近年では泌尿器系のがんで死亡する人が増えています。その中でも膀胱がんは発症する人の80%以上が60代以上であり、男性は女性よりも3倍罹患率が高いことが分かっています。
膀胱は腎臓で作られた尿をためる場所ですが、その内側は移行上皮と呼ばれる細胞によって覆われています。膀胱がんの大半はこの移行上皮細胞で発生します。

シロタ株の効果

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乳酸菌の中で膀胱がんのリスクを下げる働きを期待されているのがシロタ株です。1930年に後のヤクルト創業者である代田稔博士によって発見されたシロタ株は、動物実験で発がん抑制効果が確認されています。

そこでシロタ株と膀胱がん発症リスクの関係を調べる目的で、過去に膀胱がんを発症してがんを切除した患者125名を対象に試験を行いました。
まず被験者を二つのグループに分けて、一方のグループ61名にはシロタ株を含む製剤を、もう一方のグループ64名には偽薬を1日3回1g、1年間またはがんが再発するまで摂ってもらいました。
その結果、1年後の再発率は偽薬を摂った方の平均が45.1%であったのに対して、シロタ株を摂ったグルヘプでは20.8%と、膀胱がんの再発リスクが半分以下に下がることが確認されました。
さらに試験中に膀胱がんを再発した人を対象に、がんの悪性度を試験前に切除したがんと比較しました。その結果、偽薬を摂った人は9名中7名が悪化したのに対して、シロタ株を摂った人は11名中10名が改善することが確認されました。
これらの試験結果からシロタ株には膀胱がんの再発リスクを引き下げ、再発したとしてもがんの悪性度を改善することで回復を促す働きがあることが明らかになりました。

乳がんリスクを下げるシロタ株

乳がんの特徴

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女性のがん死亡数で常に上位を占める乳がんは、1990年代後半から罹患率が上昇し続けています。2016年には約14000人の女性が乳がんで死亡しました。
世代別では40代の女性が最も多く発症し、大腸がんなどと比べて若い世代が発症することが多いため、症状が進行しやすく死亡率を高めています。

シロタ株の効果

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乳酸菌の中で乳がんのリスクを下げる働きが期待されているのが、他のがんに対して有効性が認められているシロタ株です。
そこで40~55歳の女性で初期の乳がんであり術後1年という条件を満たす306名を対象に、10~12歳頃、20歳頃、10~15年前それぞれの発酵乳や大豆食品の摂取状況を聞き取り調査しました。
なおシロタ株については製品の写真を見てもらいながら答えてもらいました。また被験者と年齢や居住地域が似ている健康な人662名にも同じアンケート調査に回答してもらい結果を比較しました。
その結果、シロタ株を含む発酵乳を週に4回以上摂取している方の割合は健康な人では16.2であるのに対して、被験者では11.1%と低いことが分かりました。
さらにシロタ株を含む発酵乳を週4回以上摂取している方の乳がん発症リスクは、週4回未満の方の0.65倍と低いことが確認されました。これはシロタ株を摂ることで乳がん発症リスクが35%低下することを示しています。

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