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乳酸菌を摂るベストタイミングは

目的によって異なる乳酸菌を摂るタイミング

ヨーグルトなどから摂ることができる乳酸菌は、優れた整腸作用を持つ善玉菌として知られています。健康のために習慣的に摂っている、または摂りたいと考えている方が多いのではないでしょうか。
そこで気になるのが「乳酸菌をいつ摂ったら良いのか」という問題です。「健康に良いのだからいつ摂っても構わないのでは」と安易に考えてはいけません。
乳酸菌は摂るタイミングによって得られる効果が変わります。ではベストなタイミングとはいつなのでしょうか? その答えは乳酸菌を摂る目的によって異なります。
便秘を解消したいのか、免疫力を高めたいのか、ストレスを解消したいのか、ダイエット効果を得たいのか、それぞれの目的に合ったタイミングで乳酸菌を摂りましょう。

便秘を解消したいなら朝食後に摂る

乳酸菌を生きて腸に届けるなら食後が良い

乳酸菌は一般的に食後に摂ることが推奨されています。乳酸菌の多くは酸に弱い性質を持つためです。

私たちの胃から分泌される胃液は、時間帯によってpH(酸性とアルカリ性の程度を示す指数)が大きく変化します。
空腹時の胃液はpH1~2という強酸性です。食事を摂るとpHは上がり中性に近いpH5~6まで上昇します。

pH1~2という強酸性を生き抜く乳酸菌はほとんど存在しません。
pHが2~3まで上がると漬物などに生息する植物性乳酸菌の多くが生き残りますが、ヨーグルトなどの発酵に使われる動物性乳酸菌には厳しい環境です。
このことから特に動物性乳酸菌を摂る場合は、食べ物でお腹が満たされた食後に摂るほうが良いとされているのです。

生きた乳酸菌には優れた整腸作用が期待できる

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生きた乳酸菌には優れた整腸作用が期待できます。便秘や下痢、お腹の張りや腹痛などお腹の不調を解消したい方は乳酸菌を生きたまま腸に届けたいところです。

胃酸や胆汁酸を通過して生きて腸に届いた乳酸菌は、糖を分解して乳酸や酢酸などの有機酸を生成します。

お腹の調子を整える鍵はこの有機酸にあります。腸内に生息するビフィズス菌などの善玉菌は弱酸性の環境を好むからです。
一方、大腸菌やウェルシュ菌などの悪玉菌はアルカリ性の環境を好みます。乳酸菌が有機酸を生成するとpHが下がり腸内環境が酸性に近づくため、善玉菌が活性化されて増殖が促され、悪玉菌が抑制されます。

便秘や下痢などのお腹の不調が引き起こされる原因は悪玉菌の増殖と、悪玉菌が作り出すインドールやスカトール、アンモニアなどの腐敗物質が原因です。
乳酸菌が作り出す有機酸によって腸内の善玉菌が活性化されることで、悪玉菌が暴れることがなくなり不調が解消されていきます。

便秘を解消したいなら乳酸菌を朝に摂る

私たちの胃は食べ物が満たされることでpHが上がります。ですから食後であれば、酸に弱い乳酸菌であっても比較的多くの菌が生きて通過することができます。
単純に生きたまま腸に届けたいなら、時間帯は朝でも昼でも夕方でも構いません。

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ですが便秘を解消したい方は朝に摂ることをおすすめします。
その理由は食べ物を腸内で動かしながら排出に導くぜん動運動が関係しています。

私たちが自然に便意を感じてスムーズなお通じが来るのはぜん動運動が働くおかげです。
大きなぜん動運動は1日に数回起こりますが、朝に起こるぜん動運動が最も強く働きます。これは朝食を摂ることで胃に物が入り「胃・結腸反射」が起こることでぜん動運動に繋がり、さらに直腸反射が促されることで排便に繋がるためです。

朝食をしっかり摂ったうえで乳酸菌を摂る

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このように便秘を解消するためにはただ乳酸菌を摂るだけでなく、菌が生きた状態で腸に届け、ぜん動運動を促すことでお通じを保つ工夫が必要です。
朝食を抜く生活を送っていると胃・結腸反射が起こらないため、1日のうちで最も強く働くぜん動運動を上手く活用できず、排便のタイミングを逃してしまいます。

またダイエットを行っている女性は「朝はヨーグルトだけ」という方もいますが、空腹状態でヨーグルトを食べるとせっかくの生きた菌が死滅してしまいます。まず朝食をしっかり食べて、その後にヨーグルトなどから乳酸菌を摂るようにしましょう。

風邪やインフルエンザを予防したいなら流行の1ヶ月程度前から摂る

腸は免疫の最前線

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私たちの体にはウイルスや細菌から身を守る免疫システムが備わっています。この免疫システムを動かしているのが免疫細胞で、その約7割が腸に集中しています。
食事や呼吸の際に口と鼻から病原体が侵入する腸は免疫の最前線です。このような腸が持つ免疫システムを「腸管免疫」と呼びます。

免疫細胞を活性化する乳酸菌

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乳酸菌の効能は整腸作用だけではありません。乳酸菌が小腸に到達すると、一部がパイエル板と呼ばれるリンパ球の集まりに取り込まれます。
パイエル板は免疫システムの総司令部のような場所で、ここで情報交換が行われることで免疫反応を起しています。

パイエル板に取り込まれた乳酸菌は、その下で待機していた樹状細胞にキャッチされます。このときに樹状細胞が持つセンサーが乳酸菌の成分に反応します。
そして乳酸菌の情報がヘルパーT細胞やB細胞に送られることで、免疫物質である抗体やサイトカインの生成が促されます。
このように乳酸菌によって免疫細胞が刺激されて、繰り返し免疫反応が起こることで免疫力の向上に繋がると考えられています。

流行の1ヶ月程度前に摂る必要がある

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とはいえ乳酸菌によって免疫力が向上するまでには一定の時間がかかります。ウイルスの増殖を防ぐ抗体の製造には5~7日程度の時間がかかると考えられています。
このことから風邪やインフルエンザを予防するためには、流行の1ヶ月程度前から摂る必要があります。病気から身を守るためには事前の準備が大切なのです。
もちろん予め乳酸菌を摂ったから安心というわけではなく、流行が収まるまで摂り続ける必要があります。高い免疫力を維持するためには、耐えず新しい菌を腸に送り込むことで腸管免疫を刺激し続けなければいけないのです。

免疫力を高めたいなら時間帯はいつでも良い

乳酸菌を摂って免疫力を高めたい場合は摂る時間帯を気にする必要はありません。なぜなら菌が生きていても死滅していても効果は変わらないからです。免疫力を高めたいなら生きた菌にこだわる必要はないのです。
これは免疫細胞が乳酸菌が持つ成分に反応しているためです。例え乳酸菌が胃酸で全て死滅したとしても、菌体成分が小腸に届きさえすれば、その一部がパイエル板に取り込まれて免疫細胞が刺激されます。

ストレスを緩和したいなら夜に摂る

乳酸菌がストレスに働きかける

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乳酸菌の摂取はストレスの緩和にも効果的です。

腸内環境を改善する乳酸菌と脳が感じるストレスは関係ないように思えるかもしれません。
しかし、腸が持つ腸神経系と脳が持つ中枢神経系は単独で働くこともありますが、自律神経によって繋がっているためお互いに影響しあっています。

つまり腸の状態は脳にも影響を及ぼすのです。
これを「脳腸相関」と呼びます。
脳がストレスを感じると自律神経を通して腸の働きにも影響を与え、便秘や下痢が引き起こされます。
これは逆に言えば腸内環境が改善されることで、ストレスを緩和できるということでもあります。乳酸菌がストレスを緩和する理由はそこにあるのです。

夜に摂るとストレスの解消に繋がる

自律神経の乱れが不調を引き起こす

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ストレスによる不調の原因は自律神経の乱れにあります。
自律神経には緊張や興奮を感じたときに優位になる交感神経と、心身が落ち着いたときに優位になる副交感神経があり、この二つの自律神経を交互に切り替えることで体の機能を正常に保っています。
自律神経が正常に働いていれば、活発に活動する日中の時間帯に交感神経が優位になり、目覚めたばかりの朝と一日の疲れを癒す夜の時間に副交感神経が優位になります。

ところが脳が強いストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れて交感神経と副交感神経の切り替えが上手くできなくなります。
それによって仕事や家事が終わり、リラックスして休みたい夜になっても交感神経が強く働いてしまいます。交感神経が優位になるとアドレナリンやノンアドレナリンなどの神経伝達物質が分泌されます。
その結果として、不安や興奮状態が続いて、心拍や呼吸が激しくなり、体温や血圧が高い状態が続き体に負担をかけてしまいます。

これでは心身を休めて翌日に備えることができません。ストレスが溜まり続け心身に不調をきたしてしまいます。

夜に摂ることでリラックスできる

乳酸菌を夕食後の夜の時間帯に摂ると、脳腸相関によって副交感神経が優位になり、心身をリラックス状態に導くことができます。副交感神経が優位になることで脳が感じるストレスが軽減されます。
また、腸は心身の安定に欠かせないセロトニンの分泌にも関わっています。セロトニンが分泌されると、イライラや不安、恐怖といった感情が抑えられるため、幸せホルモンとも呼ばれています。
セロトニンのほとんどは腸内で作られていて、脳腸相関によって脳で不足したセロトニンを補うことでストレスの緩和に繋がります。セロトニンの分泌を促すためには乳酸菌を摂って腸内環境を整えるとともに、副交感神経を優位にする必要があります。

ただし寝る前に飲食すると、胃が満たされることで消化活動が活発になり熟睡することができなくなってしまいます。安眠できないとしっかり疲れが取れずストレスの緩和にも逆効果です。
サプリメントであれば寝る前に摂っても問題ありませんが、ヨーグルトなどを食べる場合は寝る3時間以内は避けましょう。

ホットヨーグルトがおすすめ

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乳酸菌を夜摂るならホットヨーグルトがおすすめです。牛乳を原料とするヨーグルトには、ストレスの緩和に効果的なカルシウムが豊富に含まれています。
さらに乳酸菌がヨーグルトを発酵させる際に作り出す乳酸には、カルシウムの吸収効率を高める働きがあります。

とはいえ冷たいヨーグルトを寝る前に摂ると胃腸が冷えてしまい、消化の妨げになってしまいます。ホットヨーグルトは体を温めることでリラックス効果が得られるため、安眠にも繋がります。
ただし50℃以上で加熱すると乳酸菌が死滅してしまうため注意が必要です。電子レンジで温める場合は、ヨーグルト100gに対して500wで40秒を目安に、温めすぎないようにしましょう。

ダイエット効果を期待するなら食事の最初に食べても良い

乳酸菌が生成する乳酸が糖の吸収を穏やかにする

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乳酸菌が生成する乳酸には、食べ物が胃から小腸まで移動する時間を遅くする働きがあります。それによって小腸で起こる糖の吸収が穏やかになり、食後の血糖値の上昇が抑えられます。
またヨーグルトには良質のたんぱく質が含まれています。食事の際にたんぱく質を含む食品を最初に摂ると、血糖値の上昇を抑えることができます。

ダイエット効果を期待するなら食事の最初にヨーグルトを摂る

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ダイエット効果を期待するなら食事の最初に無糖のヨーグルトを摂りましょう。ヨーグルトに含まれるたんぱく質と乳酸のダブル効果で血糖値の上昇を抑えることができます。
有糖のヨーグルトに含まれる砂糖は小腸ですぐに分解されて吸収されるため避けてください。甘さが欲しい方は小腸でほとんど吸収されないオリゴ糖でできた低カロリー甘味料を加えましょう。オリゴ糖は腸内でビフィズス菌のエサとなるため一石二鳥です。
血糖値の上昇が緩やかになることで体にかかる負担が減り、肥満のリスクを下げることができます。摂取カロリーが気になる方は低脂肪タイプのヨーグルトをおすすめです。
効果は朝でも昼でも夜でも変わらないため、時間を気にすることなく自分に合ったタイミングで摂りましょう。

乳酸菌は死滅しても一定の整腸作用が期待できる

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食事の最初に乳酸菌を摂ることで胃酸で乳酸菌が死滅してしまいますが、乳酸菌は死滅しても菌体が善玉菌のエサとなることで一定の整腸作用が期待できます。
生きた乳酸菌の効果よりもダイエット効果を優先したい場合は、食事の最初に摂っても構いません。

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