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植物性乳酸菌の優れている点

優れた特徴を持つ植物性乳酸菌

野菜や穀物、植物性の発酵食品に生息する植物性乳酸菌は動物性乳酸菌と比べて優れている点がいくつもあります。
動物性乳酸菌が生息する牛乳などの動物の乳は、豊富な栄養素があり温度が一定していて、他の微生物が生息していない恵まれた環境です。そのため生命力がそれほど強くなく、激しい温度変化や酸に弱いのが特徴です。
一方の植物性乳酸菌が生息する野菜や穀物といった植物の表面は栄養が乏しいため、茎や葉などから染み出た分泌液をエサにしています。さらに植物が生成するタンニンやアルカロイドといった抗菌物質に耐える必要があり、激しい温度変化や乾燥に晒され、他の微生物と共存しなければいけない厳しい環境です。
このような環境で生き抜いてきた植物性乳酸菌はたくましい生命力を備えていて、キムチやザーサイ、ぬか漬けなどの漬物、味噌や醤油などを作る際に活用されています。

植物性乳酸菌は酸に強い

植物性乳酸菌が持つ最も優れた特徴は酸に対する強さです。動物性乳酸菌は酸に弱いため、その多くは胃酸や胆汁酸で死滅してしまい生きて腸まで届くのはごく一部に限られます。
一方、植物性乳酸菌は消化液に対して強い耐性を持つため、動物乳酸菌と比べて胃酸や胆汁酸で死滅することなく生きて腸まで届きます。
近年の研究では死滅した乳酸菌であっても、善玉菌のエサとなることで一定の効果が期待できることがわかっていますが、生きた乳酸菌は腸内で大量の乳酸や酢酸などの有機酸を産生します。
このためより高い整腸作用が期待でき、腸内環境を善玉菌の活動に適した弱酸性に変えてくれます。それによって腸内にもともと住んでいた乳酸菌やビフィズス菌の増殖を促し、悪玉菌が抑制されます。

低温でも増殖できる植物性乳酸菌

35~40℃になると活発に動き出す性質を持つ動物性乳酸菌は、一定の温度下に置かないと増殖させることができません。一方、植物性乳酸菌は低い温度でも増殖するため室温で発酵させることができます。

動物性乳酸菌は温度管理が難しい

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動物性乳酸菌を使って作るヨーグルトは温度管理が大変です。常温では発酵しませんし、40℃を大きく超えると菌が死滅してしまいます。しかも、ただ乳酸菌を増殖させれば良いというわけではなく、発酵が進みすぎると酸味が強くなってしまいます。
漬物と比べて家でヨーグルトを作る家庭が少ないのには、上手に発酵させるのが難しいという理由があります。

植物性乳酸菌を使う漬物は温度管理が簡単

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その点で言えば植物性乳酸菌によって発酵するぬか漬けやキムチなどの漬物は、細かな温度管理が要らないため、どの家庭でも比較的簡単に手作りすることができます。
低温でゆっくりと発酵させることで酸味を抑えることができ、万人受けしやすい味わいに仕上がります。このことから日本をはじめ多くの国々では、古来より各家庭で乳酸発酵させたさまざまな漬物が作られてきました。

一度にたくさんの量の菌を摂ることもできる

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また、動物性乳酸菌よりも増殖させやすい植物性乳酸菌は、一度にたくさんの量の菌を摂ることができるのも大きなメリットです。すんき漬け1gに含まれる乳酸菌の数はヨーグルト1食分とほぼ同じと言われています。
このように低温でも増殖し発酵が進んでいく植物性乳酸菌は、漬物などの発酵食品作りを容易にし、少ない量で多くの菌を摂ることができます。毎日の食生活に植物性乳酸菌で発酵させた食品を取り入れて健康に繋げましょう。

漬物作りに使う塩の量を抑えられる

塩分を摂りすぎている現代の日本人

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植物性乳酸菌は漬物作りに使う塩の量を抑えることができます。日本人の塩分摂取量はWHOから摂取過多を指摘されるほど摂り過ぎが問題になっています。厚生労働省が行った2015年の「国民栄養調査」によると1日に男性は11.1g、女性は9.4gの塩分を摂っていることが分かっています。
目標は1日に男性は8.0g未満、女性は7.0g未満ですから明らかに摂り過ぎです。塩分の摂り過ぎは脳卒中、高血圧、腎不全、心不全などのリスクを高めてしまいます。その中でも脳卒中は死亡率が高いことで知られ、日本では常に死亡者数の上位を占める深刻な病気です。

寒い地方はどうしても塩分過多になりやすい

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日本は北に行くほど塩分摂取量が多くなると言われていますが、2015年の都道府県別脳卒中死亡率を見ると青森、秋田、岩手、福島などの県が高くなっています。その中でも寒さの厳しい東北地方では冬場に生鮮野菜の価格が高騰するため、高齢者を中心に保存食として塩漬けなどの漬物を毎日のように食べる習慣があります。
また冬場は寒くて雪が多いためどうしても運動不足になり、摂り過ぎた塩分を汗と一緒に排出できないことも、脳梗塞のリスクを高める大きな要因になっています。

一方、野沢菜などの乳酸発酵させて作る漬物で有名な長野県はどうでしょうか。内陸で平均標高が日本一高い長野県は寒暖の差が激しい気候が特徴です。昔は塩分摂取過多によって脳卒中の死亡率が高いことで知られていましたが、近年になって県を上げて減塩の取り組みを行った結果、男女ともに全国で最も低い死亡率になりました。

乳酸発酵させた漬物は減塩できて保存性も高い

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もちろんこれには伝統的な漬物が見直されたことが大きく関係しています。乳酸発酵させた漬物は植物性乳酸菌が産生する有機酸によってpHが下がり、雑菌の繁殖が抑えられ保存性が高まります。それによって漬け込む際に使う塩の量が少なくて済みます。
ぬか漬けやキムチといった乳酸発酵させた漬物を食べることで、減塩に繋がり脳卒中のリスクを下げることができるなら野菜の価格が高騰する冬場も安心です。

塩を使わない長野県の「すんき漬け」

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その中でも長野県の木曽地方で食べられている「すんき漬け」は世界でも珍しい塩を一切使わない漬物です。塩は雑菌の増殖を抑えるために使われますが、塩を使わずに乳酸発酵だけに頼ってしまうと今度は酸味が強くなってしまいます。乳酸発酵をいかに上手にコントロールするかがすんき漬け作りの秘訣です。

他の微生物と共存できる

動物性乳酸菌は他の微生物と共存できない

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植物性乳酸菌は他の微生物が生息している環境であっても生き抜くことができます。このような高い適応力は動物性乳酸菌にはない特徴の一つです。
動物性乳酸菌は他の微生物が生息していない環境で暮らしていたため、生きて腸まで届いたとしても、もともと住んでいた腸内細菌によって排除されてしまいます。
そのため長く腸内に留まることができずに短くて数時間、長くても数日のうちに便として排出されます。その点、適応力が高い植物性乳酸菌は他の腸内細菌と共存できるため長く活動することができます。

味噌や醤油は植物生乳酸菌と他の菌のコラボレーション

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この性質は味噌や醤油などの日本の伝統的な発酵食品にも活かされています。

味噌作りはまず麹菌が生成したアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼなどの酵素によって原料が分解され、でんぷん質をブドウ糖に分解します。次に乳酸菌がブドウ糖を分解して有機酸を生成して原料のpHを下げて、酵母の生育に適した環境を作り上げます。
乳酸菌は味噌作りにおいて麹菌から酵母菌に発酵のバトンを繋ぐ役割を果たしています。醤油作りにおいても同じような働きをします。

醤油作りはまず3日ほどかけて麹菌を増殖させます。それによって麹菌から酵素が作られでんぷん質をブドウ糖に分解します。次に乳酸菌がブドウ糖を分解して原料のpHを下げ、醤油にさわやかな酸味を加え味に伸びと深みを与えます。
醤油作りにおいて、乳酸菌の増殖が十分でないと薄っぺらい味になると言われています。そして酵母菌にバトンが繋がれてアルコールが生成され、乳酸菌が作った有機酸との化学反応で複雑な香りが生まれます。

このような善玉菌同士のコラボレーションが実現するのは植物性乳酸菌のおかげです。

優れた免疫賦活作用を持つ

生きて腸まで届き腸管免疫を活性化させる

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植物性乳酸菌が持つさまざまな健康効果の中で、いま注目されているのが免疫賦活作用です。私たちの体内にはウイルスや細菌などの病原体から身を守る免疫システムが備わっていますが、腸は最大の免疫器官であり体全体の約7割の免疫細胞が集中しています。
近年の研究では、加工段階で加熱処理した死菌であっても菌体が腸に届くことで、免疫細胞を活性化する効果があることが分かっていますが、生きた菌よりも死菌のほうが効果が高いという報告はありません。

また乳酸菌に期待される効果には、菌体そのものや菌が持つ成分だけでなく、生きた乳酸菌が糖を代謝して作り出す乳酸や酢酸などの有機酸があります。
生きて腸まで届くことで腸内で大量の有機酸を生成し、それによって高い整腸作用が期待できます。腸内環境が悪化し悪玉菌が増殖してしまうと免疫力も低下してしまいますが、腸内環境が整い善玉菌が増殖することで、免疫細胞が活性化して免疫力を高めることができます。

サイトカインを生成する植物性乳酸菌

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ほかにも植物性乳酸菌の中にはインターフェロンやインターロイシンといったサイトカインの生成を促す働きがあり、優れた免疫賦活作用が認められています。
サイトカインは白血球などの免疫細胞から分泌されるたんぱく質で、免疫を調整したり、ウイルスの増殖を抑制したり、炎症を抑える働きがあります。

・ラブレ菌の働き
京都の伝統的な漬物である「すぐき漬け」から発見されたラブレ菌は、ガン細胞を攻撃するインターフェロン-αの産生を促す働きが認められています。それによって体内を巡回してウイルスを殺菌したり、腫瘍細胞を融解して除去する働きをするNK(ナチュラルキラー)細胞が活性化し、感染症やがんの予防に繋げることができます。

・Th221株の働き
醤油のもろみから分離したTh221株は白血球が分泌するインターロイキン-12の生成を促すことで、NK細胞を活性化させる働きが認められています。

このように植物性乳酸菌を摂ることで腸内の免疫細胞が活性化し、風邪やインフルエンザなどの感染症やアレルギー症状の予防や症状の緩和、さらにはガンの罹患リスクを下げる効果が期待できます。

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